続・松代町の雪中隧道 to the deeper 3

概要

第一雪中隧道の分岐から第二雪中隧道へと入り、その内部では、封鎖されていたとはいえ、またもや分岐していた。
大丈夫か?このまま行っても・・・

3-1 本性

続・松代町の雪中隧道 to the deeper 26 この写真は前回も示した、坑道らしき分岐の手前のものだ。
この先で道は右に曲がっている。
川に沿っている(と思われる)道筋が右折したということは、どんどん地中深くもぐっていくことになるわけだが・・・

・・・ま、まあ、一本道である限り、迷いはしないだろう・・・
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 31 と思いきや、曲がった途端に今度は左折していた。
これでクランク状に曲がったことになり、やはり道筋は基本的に向こう側の坑口を目指しているようだ。

しかし、その確信がない上に、前方の状況が全く分からない探索は緊張する。
一直線で向こう側の光も見える第一雪中隧道の探索が鼻歌交じりであったのに対し、この隧道の探索ははっきり言って怖い。
上から崩れてくるかもという恐怖ではなく、未知なる物への恐怖だ。
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 32 でろでろ〜ん・・・なんじゃこりゃ。
周囲とは文字通り異色の粘土質の土壌が壁から染み出していた。
水の流れに乗って、どこかの洞窟のテーブル鍾乳石のようだ。でもキモイ。


ぐっちょぐちょのそれには、確かに足跡があった。
しかしその足跡は分岐近くで見たものとは様子が異なり、古く、また数も多くない。
分岐近くの足跡の主は、ここまでは用がなかったらしい。
坑道らしきその分岐場所が目的とか?
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 33 クランクカーブを曲がった先から、予想外のものが、かすかに見えた気がした。
本当に「かすか」なので、写真ではとても捉えられない(写っているのは蝙蝠の群)。
それどころか、自分の目も疑ったほどだ。

予想もしなかったそれとは・・・だ。
あまりにも弱弱しいそれは外の光景を直接見ているのではなく、壁に反射した光を間接的に見ているようだ。
しかし、それでも、この状況で光が見えることなど全く予想できなかった。
反対側の坑口は完璧に閉塞していたし、そもそも入洞してから5分しか経っていないこの状況では、まだ入口付近でウロウロしているようなものだ。
光まではまだまだ距離がありそうだが、横穴でもあるのだろうか・・・
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 34 いまのところ、隧道の状態は時折頭上に水滴が落ちてくるくらいで、ほとんど崩壊は見られない。
第一雪中隧道のほうが、細かい崩落がよほど多かったような気がする。

しかし、それもほんのひと時の幻に過ぎなかったことを、この先で目の当たりにした・・・
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 35
ギャース!!!
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 36 大 崩 落 !!!!
左右も、天井も、ぼっこぼこに崩れまくり!
おかげで、二車線のトンネルくらいまで断面積が広くなっている!

積もった土砂の高さは最大で私の身長くらい。
崩落部分の延長は2〜3メートルくらいか。
光はまだずっと先のほうに見え、崩落から先もまだまだ道は長い。
先へ進むには、当然これを乗り越えていかなくてはならない。
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 37 はっきりいって緊張感は極限状態(なので写真もろくに無い・・・)。
それでも、やっぱり好奇心が勝ってしまった。
崩落土の端に足を乗せた瞬間、これまた予想外の感覚が。

「ズブリ・・・」

沈む!!
単なる瓦礫のように見えた土砂は実はたっぷりと水を含んでおり、おまけに酷く脆く、想像以上に「柔らかい」のである。
それを知る由も無い私は、思いっきり脛まで土砂・・・というより泥の塊に埋まってしまった。
すぐに危険であることを悟り、水深確認用の木の枝を突き刺して、先の状況を見ながら進んだ。
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 38 幸い泥のようになっていたのは土砂の下の層だけであり、乗り越えにかかってからはさほど苦労はしなかった。
写真は振り返って撮影。
乗り越えたのは単なる土砂だけではなく、自らの恐怖心も含まれるだろう。

ジューシーな土砂は石のように見えても手で掴んだだけでぼろぼろと崩れ、このあたりの地質は良いものではなさそうだ。
それだけ・・・不安定でもあるということを意味する。
怖かった。

3-2 水と光と

続・松代町の雪中隧道 to the deeper 39 大崩落を過ぎると、再び隧道は落ち着きを取り戻した。
弱弱しかった光ももう目の前に見える。
どうやら、横穴でも開いているらしい。
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 40 上の写真にある白い物体はビニール袋で、中には砂が詰まっていた。
その他にも、付近には小さな木片が多数転がっている。
どれも腐食しまくっており、その正体は不明だ。
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 41 横穴はまたもや┫状に分岐した先にあった(写真は分岐地点から明かりの方向を向いて)。
分岐から20メートルほど地中を進み、そこで外に出ている。

横穴という存在自体が驚きだが、その規模の大きさにも驚いた。
これはもう明り取りとかいうレベルではなく、れっきとした"出口"に他ならない。
位置関係からして、出口は旧国道に面していると思われる。
だとすれば、もうここは机上調査から予想された第二雪中隧道と結論してもいいだろう。

一応確認のために、外の景色を見てみることにした。
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 42 厄介なことに、分岐から出口までは水没している。
当然のごとく水底にはたっぷりと泥が堆積しており、水深がどの程度なのか想像がつかない。
また、その泥に何が沈んでいるのかも分からないわけで、運悪く釘でも踏んでしまえば大事になりそうだ・・・
足元を確認するため、またも木の枝をザクザク突き刺しながら進む。これ持ってきてよかった・・・
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 43 この横穴の壁にも、第一雪中隧道の入口にあったような窪みがあり、中には往時の物らしい箱が残されていた。
箱の中には何か入っているようにも見えるが、風化が激しく、原形を留めていない。
まだ隧道に灯りがなかった時代、マッチやろうそくをこの中に入れていたのだろう。

昭和30年代には、駄賃取り(冬場、生活物資を背負い、松代の町へと運んだ人々)や逓送人(郵便物の集配人)達が、 この中にあったわずかな灯りを頼りに、あの暗い闇の中を進んでいたのは間違いない。
この空っぽの箱はそんな歴史を見てきたはずだ。
今では信じがたいそんな光景を───
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 44 水深は出口に近づくほどに深くなっていき、とうとうネオプレーンの靴下で保護できる限界の膝の高さまで来てしまった。
・・・まあいい、今日は着替えも持ってきているし、下半身がつかるくらいは元より覚悟の上だ。


出口付近だけ、幅がやや広くなっている。
そこには看板らしきものが転がっていた。あいにく、文字はその有無すらも判別できない。
また、このあたりの水底には坑木か、あるいは封鎖のための板か、木片が多く沈んでおり、足場が悪い。
躓いたら悲惨なことになる。
続・松代町の雪中隧道 to the deeper 45 出口の先は案の定旧国道だった。
やはり、この穴倉は川に沿って延びていたことは間違いなく、さらに先で本来の第二雪中隧道の坑口につながることだろう。
その光景を確認できたことで、ようやくこの暗い道が第二雪中隧道であることを確信できた。


出口には鉄格子がはめられていたものの、奇妙なことに、下半分しかない。
その気になれば、鉄格子を乗り越えて自由に出入りができる格好だ。
さらに、他の坑口はすべてコンクリートで補強されていたが、ここは素掘りのままとなっている。

この妙な鉄格子と共に、この横穴はそもそも何のためにあるのかも謎である。
冬場の外が雪崩で危険なため、雪中隧道は生まれたはず。なのに、この横穴はわざわざそんな危険地帯に出ているわけだ。
しかも、ろうそく置き場があったことから、少なくとも電灯が設置される以前からこの横穴は存在し、また人の出入りもあったことだろう。
何でこんな中途半端なところに横穴があるのだろう?
坑道の資材運搬とか?
入洞から10分ほど経過したが、外の景色を見る限り、まだ目的地までは距離がありそうだ。
しかし、「坑道かもしれない」という未知なる物への恐怖はこれで取り除かれた。
かなり怯えながらだった探索も、ここからは多少落ち着ける・・・はずだった・・・
[ 07' 11/23 訪問 ] [ 07' 12/30 作成 ]
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