国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 2

概要

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道の地図 前回訪問から10か月。
季節は夏の終わりから春の終わりへとあっという間にすっ飛んで、再訪の機会を得た。
この日、空模様は怪しく、しっとりと周囲を濡らす細かい霧雨が降り注いでいる。
岸壁に刻まれた道のロッククライミングは避けられない状況であるというのに、コンディションは良いとは言えない。
濡れた岩場は滑るからだ。

2-1 季節がもたらす道

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 19 この日は須築の集落よりも少し北に車を止め、自転車で近くまで行くことにした。
自転車同伴でロッククライミングはできないので、もとより須築トンネルの旧道を自転車ごと行く気はなく、自転車はこのほかの物件を探索する手段として持ち込んだ。


写真は須築の集落。
須築には漁港もあり、釣り場としてその道の人には有名であるらしい。
小さな集落にも割と大きな民宿があって、そういった人への需要があるのだろう。
夏場に脱水症状を起こしながら民宿の前を通った時には、玄関前にあった自販機でペットボトル3本を買ってがぶ飲みした記憶がある。
ある意味命の恩人である。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 20 写真のトンネルは前回最後に紹介した藻岩トンネルの須築集落側である。
このトンネルは前回「素掘り隧道を改築したもの」と考えた。
果たして本当にそうなのか。
ここから見る限り、岬を回る道も、山越えする道も見当たらない。
前回、向こう側のポータルを見てもそうだった。
季節が変わった今でも、その結論は変わらないのだろうか?
反対側に回ってみよう。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 21 ・・・何やら見たことのない道が見える。

あの盛夏の真っただ中、私にはトンネルの上に道は見えなかった。
しかし藪の薄いこの時期に改めて見てみると、トンネルの上をほぼ水平に横切るラインが明らかではないか!

藻岩トンネルの旧道はというと、山越えであったと結論してよさそうだ。
須築トンネルの旧道は岬の裾を隧道で貫きながら波打ち際を進んでいるはずで、それはどこからか登り基調となり、藻岩トンネルが貫く岬は地形に一定に沿いながらも山越えの道であった。

次の課題は、「須築トンネルの旧道を越え、山越えのあの路盤に達することができるのか」ということになる。
まるで見えなかった須築トンネル旧道の行く末は照らされた。
あとは歩を進めるのみだ。

2-2 藻岩隧道

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 22 須築トンネルの須築集落側坑口。

やがて山越えの道につながるとすれば、ここに海岸伝いの道が存在しないことも頷ける。
しかし、すぐ背後に明瞭に見えた山越えの道につながるようなラインはここには確認できない。
これはどうも、須築トンネル瀬棚側からアプローチして、路盤を正確にたどっていくより他はなさそうだ。

自転車ごと須築トンネルをくぐり、前回もアプローチした瀬棚側から旧道に入っていくことにする。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 23 前回お伝えしなかったが、須築トンネル瀬棚側坑口の横には藻岩の滝という滝が存在する。
この滝を作る沢を藻岩川というが、この沢は昭和45年国土地理院発行の地形図には隧道の沢という意味ありげな名前で記載されていた。
この昭和45年より古い地形図には沢の名前が記載されておらず、この年から須築トンネルが記載されるようになっているため、隧道というのが当時新築されたばかりの須築トンネルを意味するのか、それとも旧道にある隧道を意味するのか、どちらなのかははっきりしない。
もし後者なら、沢の名前を決定するときにはその隧道が既に存在していたということになり、歴史的に非常に古い隧道であることが示唆される。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 24 藻岩の滝に自転車を置き、これを背に須築トンネル瀬棚側から旧道に進入した。
前回も探索したこの区間に特に変わりはなく、相変わらずこの短い距離にも岩の上り下りを要する難所である。
微妙に濡れた岩が行く手を阻み、攻略難易度は前回の二割増しといったところか。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 25 隧道内にも異状なし。


ちなみにこの隧道、正式名称がわからない。
もともと徒歩道に存在する隧道なのだから、その由来すらもわからない中で隧道の名称を特定することは至難の業なのだ。
岬の名前をとって藻岩隧道とでもしようか。

2-3 古道出現

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 26 前回撤退した、藻岩隧道から須築方向への道。
───ここにあなたは道を見出せますか?
正直、前回来たときには、その痕跡を認めようとしていなかった。
藻岩隧道の手前区間においても、道なのか確証が持てなかったからである。
この稼業、迷いを抱いた時点で探索終了となることが間々あるものだ。

しかし、今回は確信を持っている。
道があることへの確信ではなく、「道がなくとも迂回して進む」という確信を。

だから、おおよそ路盤に見えない幅30cmの平場に足を乗せ、へばりついて進んでみた。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 27 振り返って撮影。

・・・これは道だろう!
よくよく見れば隧道の幅員より少し狭いくらいで、ごつごつした岩の平地が明らかにラインを描いている。
人間同士がすれ違うこともできないほどの狭さで、かろうじてつけられた道だ。
現役時代からこうだったのだろうか?
路肩を石垣なんかで固めてもう少し広かったのだろうか?
この狭さでは、馬を通すことは難しそうだ。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 28 その先にも道は続いている。
狭いうえに平らにならされているわけでもないので、足場はひどいもんだ。
つまづいたところで命にかかわるようなことのない高さとはいえ、これから山越えのために高度を上げていくことを考えると、いい傾向ではない。
楽しいけどね。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 29 うん、これは命に係わる高さだ。
藻岩隧道から6分ほど歩いたところで、徐々に高度を上げた路盤が突然なくなってしまった。
現役時代には石垣などで黄色で示したような路盤があったのだろうが、その痕跡もどこにもなくなってしまった。
滑り台のように綺麗な滑斜面の岩場が足元5〜6メートルほど下まで続いている。

このまま進めないかと何回かチャレンジしてみたものの、この日の霧雨によって微妙に湿った岩は要所要所で滑落の罠を張っている状態。
まだ波打ち際まで降りられる高さだし、そこには磯があって迂回して進むことも難しくはなさそう。
路盤にまた戻ってこれるかに不安がなくもないが、やってみる価値はありそうだ。
少し戻り、下に降りた。

2-4 現れ始めた人類の遺産

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 30 幸いにして岩登りさえ厭わなければ元の路盤に戻ることは容易だった。
道の先は上から崩れてきたのか、ごつごつした岩が転がっている。
足元といえば路盤のようなそうでないような・・・ただ、「進める」と結論できるレベルであることは間違いない。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 31 これは・・・切り通しではないかっ!?
幅1.5m、高さ2m程度の、なんとも小規模でかわいらしい切り通しじゃないか!
乱雑に折り重なった岩岩の、その自然美あふれる姿はどうだっ。
そして、それに対抗した切り通しの、その機能美あふれる姿はどうだっ。
ああっ、美しすぎるっ!!
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 32 この切り通しのど真ん中に、明らかにここが人造である証拠があった。
足元に、コンクリートに埋め込まれた金属支柱の痕跡を見つけたのである。
切り通しのど真ん中に存在しており、おそらく立ち入り禁止などの看板があったものと思われる。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 31 ところでこの写真、美しさのほかに、ある期待感をも抱かせるものだった。
それは切り通し越しに見えた地形が、あまりにも断崖絶壁であったことである。
あんなところを海岸伝いに道を作れるはずがない。
切り通しの向こうに道があるとすれば───
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 33
絶壁の道と!!
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 34
二つ目の隧道が!!!
でちゃった!!
[ 11' 7/30、12' 5/5 訪問 ] [ 12' 7/22 作成 ]
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