国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 3

概要

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道の地図 常に進行方向右側に存在する岩壁のせいで、GPSの精度が悪いうえ、同じような地形が続いているために、現在位置は正確には分からない。
おそらく次の隧道で藻岩岬を回るように思うのだが、地形図ではその先も長く岩場が続いているようだ。

3-1 石垣と二つの道

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 35 隧道 with 石垣!!

これまで道なのかそうでないのかよくわからないような幅員30cmの路盤を進んできた。
これが人為的に造られた道だといえる明らかな証拠とは、まさにその隧道しかなかったわけだが、ここへきてもう一つ、石垣という物証も得られた。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 36 なんとも・・・危うい隧道だ・・・
塞がりかけていて危ないとかそういうのではなくて、そこまでの道が道としての体裁をしていないという意味で「危うい」のである。
明らかに隧道といえる穴ぼこが開いているのに対し、そこまでの道はどこが道なんだ?上と下の2本あるようにも見えるぞ?
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 37 「下の道」に見えるあれは、なのか?偶然にできた賜物なのか?
ありとあらゆるクエスチョンマークが頭を踊った。
だからこそ、あそこに行ってみたい!!
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 38 橋のようなものと間違えようのない石垣・隧道へ至る道は、本当に危うい。
わずかな平場を足場にした雑草が生えている部分(「草の道」)以外、どこが道なのかははっきりしない。
橋へと続く「下の道」は何とか辿れそうだが、「上の道」はオーバーハングになった岩場で明らかに欠落しており、トレースすることは難しそうだ。
線型的には「草の道」から「上の道」へと続いているように見え、「上の道」が崩落したことで「下の道」を開削し、橋を架けたのかもしれない。

上と下で進行方向別の離合箇所だったらおもしろいなー。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 39 「上の道」は辿れそうになかったため、「下の道」を選択した。
足元は人工物を見出しがたい岩場であり、「草の道」からの分岐点があったわけではなく、なんとなく辿れそうな箇所を降りてきたに過ぎない。
馬が通れたかというと、微妙だ。


「下の道」はこの橋のような場所へと案内してくれた。
岩の裂け目に渡された長さ2メートルほどの橋は、ここまで近づいても人工物なのか自然の産物なのか判断できない。
自然の産物を利用しながら、最小限の開削で通されたこの道では、現代の価値観では岩にしか見えないこれが立派な橋として機能した可能性も捨てきれないのである。

いずれにしろ、これが私にとって岩の裂け目を越えるためのれっきとした橋であることに揺るぎはない。
ありがたく渡らせてもらおうじゃないか。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 40 ときに、「下の道」は本来の道であろう「上の道」とは結構な高低差となっていた。
このまま直進しても、隧道手前の絶壁を上ることは不可能である。
ここだけ見れば「下の道」が隧道に続くような道ではないことは明白なのだが、「下の道」はここであたかもつづら折れのように切り返し、「上の道」へと高度を上げていることが、「下の道」も隧道へと続く道の一つである可能性を示唆している。
面白い。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 41 あれも・・・石垣だ!
つづら折れの途中から見た「草の道」の足元には、カメレオンのように背景に溶け込んだ石垣が存在した。
自然石を大した加工もなく乱雑に積んだそれは、モルタルで固められた隧道前の石垣とは年代を異にしそうだ。
やはり、どこかの時代に大掛かりな修築工事をしたような気がする。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 42 「上の道」に戻った先は、わずかな路盤の痕跡を認める石垣と小さな隧道が待ち構える。
石垣のある路肩から想像される幅員は、隧道と同じ2メートル弱といったところ。
今まで通った幅員30cmくらいの箇所はやはり崩落によって狭まったのだろうか?
だとすると、ほとんど全線にわたって石垣で拡幅されていたことになるが・・・

3-2 藻岩第二隧道

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 43 It's ミニマム!!

小さい!
けれど、まぎれもなくその姿は隧道だ!
いつのことかわからない現役時代の姿を最大限に留める、この隧道のなんと美しき姿よ!
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 44 延長は10メートル前後、幅員は1.5メートルくらいか。
途中から水たまりができているが、ほとんど崩落はなく、入口から流入した砂が足元にゆるく広がっている。
入口からの姿があまりにも小さく見えたのは、その土砂が入り口付近にたまって視線が高くなっていたためであり、内部の規模は最初に通過した隧道とそれほど変わらない。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 45 たまった水たまりの底を見ると、足跡があるじゃないの・・・
ここまで時折崖登りも必要な場所だというのに、釣り人の踏破力は見習うべきものがある。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 46 出口付近から振り返って撮影。

さてこの隧道、当然ながら名称不明である。
竣工年代は規模や石垣から察するに、大正から昭和初期であろうことは前回もお話した。
地図に一度も載ることのなかった隧道に、私が名前を付けるとしたら・・・
藻岩第二隧道の名を与えよう!(安直〜)

これに伴い、最初に潜った隧道は藻岩第一隧道と改名しなければならない。
以降レポートではこれらの名を用いることにする。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 47 外に出て振り返って撮影。

深い岩場にただそれをくりぬいただけの隧道が、100年近い時を経て今もほとんど変わらぬ姿であり続けている。
いつ、だれが、どんな目的でこの道を築き、この穴ぼこを穿ったのか。そして、どう利用され、いつごろ忘れられたのか───
そのどれも、歴史書の中に残されることはなかった。
ただ想像するしかないそれらの真相がなおのこと道のロマンを掻き立てるといえよう。

3-3 信じる者は救われる

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 48 藻岩第二隧道を出てすぐ、岩登りなくしては越えられない路盤の欠落がある。
ここは手掛かりが少なく、高低差2mほどの濡れた岩場を降りるのは緊張した。
降りた先に安全な平場があるわけではなく、ただそこを通れば岩の割れ目を越えられるというだけ。
なにせ降りた先でも海面からは高さ15mはありそうなところまで高度はあがっていた。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 49 小雨に濡れた岩が全体的に海側に傾いており、平場と呼べるものはどこにもない。
隧道の前にあった石垣も見当たらない。
そうだとしても、もはや道でないと疑えば負ける!
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 50 平らにならされた地形は無いし、視界のどこにも人工的な構造物が見当たらないありさま。
道の現役時代からこうであったというのなら、車のついたものはもとより、馬ですら通ることは難しかったように思われる。

たった一人、岩壁に這いつくばるようにしてどうにかこうにか前に進める岩場が続く。
それも水平移動ではなく、細かいアップダウンを繰り返す。

道の要素がどこにも見当たらないこの岩場にも、確かに誰かが何かの目的をもってここに手を加えた証拠が、三度現れた。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 51
三つ目の隧道がッ!!
道がない、でも隧道だけが残る───
こんなケースはいくつもあった。
が、岩場に刻まれたはずの道がここまで痕跡なく、そして隧道だけがこの世に残るこんなケースは初めてだ。
この道はどれほど私を驚かせてくれるのか。
[ 11' 7/30、12' 5/5 訪問 ] [ 12' 10/5 作成 ]
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