国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 4

概要

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道の地図 わずかな痕跡となった岩場の道をたどると、三つ目の素掘り隧道に遭遇した。
その前後には、異界となった光景が期待できそうだ。

4-1 現世の賽の河原

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 52 岬を回った岩間から見えるあの隧道(藻岩第三隧道とする)の、なんとも小さなことよ。
だからこそ、この断崖の大きさが計り知れようというもの。
自然の地形に対する畏怖を覚えざるを得ない光景だ。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 53 隧道手前までの道もやはり自然のまま。
絶壁を申し訳程度にくりぬいて、幅30cmにも足りないような路盤がつけられている。
ごつごつした岩の路盤と人外魔境なこの場所は、あまりにも現世とはかけ離れた光景だ。
隧道があの世へと通じているようにすら思える・・・
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 54 海側を見ればこんな景色である。
しとしとと寂しい雨が降り注ぐ曇天の下に、荒涼とした岩場が広がる。
そこには波が砕ける音だけが響き、救いを見出せるような人のぬくもりは存在しない光景だ。
あの世にある賽の河原とは、こんな光景に違いなかろう・・・
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 55 振り返ってみると、なんとなく道が分岐しているように見えなくもない?
でも騙されてはいけない。
どっちを進んでもまっとうな路盤にはつながっておらず、路盤とも言い難いごつごつした岩の上を歩くことになる。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 56 隧道の中に明かりは見えない。相当に長いのか、それとも閉塞か───
そして、賽の河原にも思えたうら寂しい入り江の向こうにある隧道が続く先とは、天国なのか地獄なのか───
期待と不安が交錯し、心拍数が心地よいほどに上がっている。

4-2 藻岩第三隧道

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 57 長い!
地獄の門のような狭く暗い隧道の奥に、確かに明かりは見えた。・・・小さく。
目測で70〜80m程度はありそうだ。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 58 幅員1.5mほどの狭い素掘り隧道。
大きな崩落もみられず、まっすぐに出口まで続いている。
これまでの隧道と違い、この距離では明かりが必要になるだろう。
ひさしぶりに隧道用のマグライトを装備し、波音が響く隧道へと足を踏み入れた。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 59 人道用の隧道の例に漏れず、低い天井は圧迫感を感じさせる。
この隧道が作られた当時の平均身長ならばそう感じなかったのだろうか。
明かりがあった様子もなく、かつては前方に見える出口の光のみを頼りに歩いたはずで、つまづいたりぶつかったりすることはなかったのだろうか。
21世紀の高性能携帯光源をもってしてもこの程度の明かりであり、頭や足もとへの不安感は尽きないというのに・・・
想像することが楽しい。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 60 これは支保工か?
コンクリートの枕木のようなものが一本、足元に転がっていた。
他には見当たらず、支保工の痕跡にしては数が少ない。
なんだろう。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 61 藻岩第一・第二隧道に比べれば長めとはいえ、歩けば3分もかからず通過できる。

地獄の門の隙間から見えたものは、尋常ならざる“へつり”の道のようだ───

4-3 海の道と海の洞窟

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 62 ひょおおおお・・・
へつってるぜ・・・

海沿いの絶壁をわずかに削ってつけた徒歩道は、越後七浦シーサイドライン以来の物件である。
あの時悩まされたフナムシは見当たらないものの、小雨に濡れた岩場はやっかいだ。
さらに、ボロボロであったとはいえ遊歩道として整備されたこともあったシーサイドラインと違い、放りっぱな道である。
微妙に海側に傾斜した足場が緊張させる。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 63 振り返って撮影。
出口から大きくカーブしており、これ以上引いて撮影することはできない。
絶え間なく響く波の音と雨に濡れた光景が、まさに「海の洞窟」と呼ぶにふさわしい。


上の写真にある通り、坑口を出ると、複雑な海岸線に沿って大きく右にカーブする。
その先には───
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 64 正真正銘橋!!
延長1m程の橋が姿を現した。
大きな岩の裂け目の根元に食い込むように、へつりの道は奥深くへと突っ込んでいき、その先端で裂け目を渡っているのである。

橋の直前区間は断崖を「コ」の字型にくりぬいたオーバーハングの道であり、上から落ちる水滴の量が半端ない。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 65 小雨に加えて岩場を滴る水でずぶ濡れだ。
近づいてみると、大きな砂利を含んだコンクリート製の橋。
乗っかってボキッといくことは無かろうが、濡れて滑り落ちれば5〜6mは転落する。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 66 渡り終えて振り返って撮影。
幸いにして折れることも滑ることもなく、無事に橋を通過した。
藻岩第三隧道に足跡があったことからも、釣り人の往来はそれなりにあるのだろう。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 67 その先は比較的海岸線から離れて歩く。
へつった道のような、それが崩れたような、なんとも言えない路盤が伸びていた。
またもや道らしさは危うくなっていく・・・

4-4 草の道再び

国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 68 登っ・・・てるんだな?これは。
ほんのわずかに道を均した痕跡が、いきなり高度を上げていた。
離れていた海岸線からさらに離れ、何かを目指すかのごとく、草の斜面に向かって突っ走っている。その斜度は馬鹿に出来ないほどにきつい。
いよいよ前回見落とした山越え区間に入っていくようだ。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 69 振り返って撮影。
一気に高度を上げたことがお分かり頂けるかと思う。
ちなみにこのあたり、斜面全体をなでるように水が流れており、足場はひどく悪かった。


そして、草の斜面に突入したことで、新たな問題が発生した。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 70 道がない!

頑丈な岩場に刻まれた道が、あんな有様だったのだ。土の斜面に道が残ろうはずがない。
さらに、そんな岩場の道でも釣り人という通行者が見込まれたのに対し、この先の山越え区間に釣り人は用はないのである。
今までの区間とは地形も性格も需要も異なっている。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 71 それでもなんとか、草の高低や地面の平場から、路盤の推定は可能だった。
春の今時分だから良いが、夏場は前も見えない藪地帯となりそうなところ。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 72 抜けた!
草の道を100mほども行った先に見えたのは、須築トンネルの先にある、藻岩トンネルだ。
現道から見ると旧道はかなり高い位置にあり、須築トンネルの北側から旧道が見えないのも無理はない。
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 73 今立っている旧道と同じ高さで、最初に見えた藻岩トンネル上の山越え旧道が続いている。
このまま水平ラインをキープして、向こうに至るのが本来の旧道の姿らしいのだが・・・
国道229号 須築トンネル旧道 釣り人達の古道 74 その旧道がゴッソリ消えてるんだよね・・・
現在地 ようやく反対側の様子が見えたところで、斜度80度くらいの崖が目の前に立ちふさがっていた。
大規模に崩れたか、そろそろ須築トンネルの坑口が近づいたことから、現道工事の際に削り取られたのかもしれない。
無理にここを横断しなくとも、須築トンネルと藻岩トンネルの間から旧道に登ることができそうなため、とりあえずここは引き返しておこう。
この探索で須築トンネルを迂回する旧道は1本につながった。
しかし、藻岩トンネルを迂回する旧道は、向こう側でどうなっているのかわからない。
藻岩トンネル上の山越え旧道は果たしてどこまでたどれるのか?
[ 11' 7/30、12' 5/5 訪問 ] [ 13' 1/3 作成 ]
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