国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 3

概要

国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネルの地図 残るは天狗トンネルと日方泊トンネルの洞内分岐まで。
その分岐地点は果たしてどんな姿をしているのか。

3-1 天狗トンネル

国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 30 横穴のすぐ隣にある日方泊覆道。
竣工は昭和56年で、国道が開通してから一年後にできたものだ。
頭上の扁額には覆道名ではなく、この先の天狗トンネルの名が掲げられていた。

左手には高さ100メートルを越える絶壁が数百メートルにもわたって続いており、新道である日方泊トンネルに切り替えられた最大の要因とされる。
もっとも、これは「崩落した豊浜トンネルと地形が似ていた」という理由があったためで、もしも豊浜トンネルの崩落事故がなければ、現在でも共用されていただろう。
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 31 これまでずっと続いていた廃土は覆道からなくなっていた。 ただし、延長370メートルの覆道内に残された現役時代の遺構という物は全くない。


右のほうに見える岬を日方岬といい、ここと山側の天狗岳(973メートル)を結んだ一帯を「天狗の鼻」といった。
天狗の鼻の区間が雄冬〜歩古丹間で最大の難所であり、両区間の陸路を途絶させていた。
国道開通以前の徒歩道時代でも、この区間を避けている。
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 32 緩やかに右にカーブした覆道を半分ほども行くと、11月の北海道というただでさえ冷える空気の中になおさら異質な冷気が感じられるようになった。
同時に、前方には一切の光を通さぬ漆黒の闇が見えてきた。
昭和55年、天狗の鼻を攻略し、雄冬〜歩古丹間に初めて陸上交通をもたらした天狗トンネルの坑口が、そこである。
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 33 坑口前には歩古丹トンネル近くで見たようなボロボロの波止場がある。
国道工事においては日方泊にも上陸基地が設けられており、これがその跡だ。
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 34 日方泊トンネルとの洞内分岐は封鎖されているわけで、当然「閉塞隧道」という形になる。
閉塞隧道に特有の体をくすぐるような冷気が周辺を覆っており、いくら数年前まで現役であったトンネルとはいえこの空気は非常に不快だ。

天狗トンネルの延長は1200メートルで、雄冬側から現道との洞内分岐地点までは約800メートルある。
つまり歩古丹側から分岐地点(閉塞地点)までは400メートルほどの計算となる。
目視でそれくらいありそうだ。

リュックから明かりを取り出し、早速進入。
廃止されて間もないので恐怖は全くない。

3-2 天狗の鼻の穴

国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 35 内部は使われなくなってそのままというわけではないらしく、中央付近が掘り返された形跡がある。
現道の水抜き坑にでも転用されているのかもしれない。

奥のほうで洞内が狭まっているようだが・・・
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 36 かつては出口を示す電光掲示板でもはめ込まれていたのだろう。
取り外して何に使うのだろう?転用してるのか?
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 37 おにぎり!!!!

旧道区間に入ってからというもの、まともな遺構も見当たらないまま数kmの道を歩いてきたが、この真っ暗な天狗トンネルの中でついにおにぎりを発見。
「札幌まで98km」
国道の開通によって、やっとこの言葉が使えるようになったのである。
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 38 帰りがけには反対側に距離票も見つけた。
前述の標識とは距離が1kmずれており、わりとこういうのもいい加減なものだな。
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 39 なんじゃこりゃ・・・

見慣れたコンクリート一色の洞内とは違い、天井は見たこともない網状の構造物で覆われていた。
現役時代からこうだったとは考えにくく、放棄後に何かやってるらしい。
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 40 実際、壁は各所でくりぬかれ、暗号のようなペイントと文字が書き込まれている。
なんか・・・気持ち悪い・・・
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 41 キモッ!

天井いっぱいにぼこぼこと穴が空けられ、それがびっしりと並んでいる様はまるで無数の目に見つめられているようで、物凄く居心地が悪かった。
なんだかわからないが、トンネルの変状でも計測しているのだろうか?
シャッターで閉じられた日方泊トンネルの横坑は、これのために開くこともありそうだ。


なんにせよ、死んだはずのトンネルが不可解に利用されているのは、あたかも死体が不気味に蠢いているような感覚。
面白いような、面白くないような。
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 42 暗闇の中で生気の無い目に見つめられながら進むと、入口からも見えていた「変な箇所」につく。
まだ奥に進めるが、日方泊トンネルに塞がれる終点も近い。

近くには明かりや工事用具らしきものが散乱している他、両側の壁に赤ペンキで「計測」と書かれていた。
やはり何かをここで計っているようだ。
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 43 鋼材と板で構成された区間は長くなく、数十メートル先に閉塞地点が見える。

それまで洞内に反響していた足音が周りの板に吸収され、やけに静まった洞内というのもまた異様。
国道231号 日方泊トンネル旧道 歩古丹トンネルと天狗トンネル 44 うーん、日方泊トンネルの側壁(の外側)によって閉塞されることを期待していたのだが・・・
板で隙間無く封鎖されており、その場所を見ることはかなわなかった。
遠目には扉のように見えたこれも、開閉する機構はどこにもついていない。


坑口からここまで5分程度で、進んだ距離は300〜400メートル程度と思われる。
この板の向こうにも多少の空間はありそうだが、もはや完全に途絶されており、もう誰も目にすることは無いだろう。
天狗トンネルを出ると、午後三時前だというのに西の空は赤みを帯び始めていた。
夕景に染まりつつある歩古丹の廃校は美しくもあり、陸路のなかったかつての生活を伝えるようで、物悲しくもあった。
[ 08' 11/10 訪問 ] [ 08' 12/23 作成 ]
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