国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 4

概要

国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠の地図 午前10時前に廃道区間に突入し、すでに正午を回った。
消耗した体力を補うべく、2個のパンをかじって休息をとった後、再び重たい自転車とともに歩き出す。

4-1 受難

国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 40 峠からは確実に高度を下げている(振り返って撮影)。
だが、あまりに密な藪のおかげで、下りの実感はまったくない。
薄い路盤がそれを物語っている。
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 41 峠からも見えた谷底の水田も近くに迫ってきた。
斜面の手がかりは豊富で、もしもこの先で致命的な崩落があったとしても、何とか下まで降りられるかもしれない。
あまり考えたくはないが・・・

だが、そんなときに限ってトラブルというものは発生するものであって。
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 42 この一年以内に誰か人間が通ったことがあるのだろうかという人気のない道で、あろうことか自転車に異変が!
なにやら、自転車を押すだけでペダルがぐるぐると回るではないか
乗車できるならばたいした症状でもないかもしれないが、ひたすら押しで進む廃道でこれはウザイ。
進むたびに脛にATACKをしかけてきやがる。
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 43 自転車というのは実に単純な構造で、トラブルの原因究明と対処は比較的簡単だ。
これはどうやら襲い来る植物に根負けし、後輪の変速機に植物が絡みつき、後輪の動きをクランクに伝えているため。

早速こんな山中で自転車を分解し、原因となった植物たちを取り除いた。
単純で低機能であることはそれがメリットだと思う。
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 44 うぐっ・・・

崩れ落ちた路盤に一瞬肝を冷やすも、幸いにして山側にまだ足場が残っていた。
ゴールはもうすぐだというのに、ここでの引き返しは本気で嫌だ。
それぐらいなら斜面を転がってでも麓まで降りなくてはなるまい。

4-2 廃道歩きで見つける、たった一つの光明

国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 45 現道との合流点まで残り500メートルまで迫ったというのに、この"道らしくなさ"は何だというんだ。
30年前までは自動車も通ったはずの旧国道だぞ。
あまりに何もなさ過ぎではないか。

むなしい叫びも誰の耳にも届かない。
ただひたすら前進を続け、突破を目指すのみ。
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 46 キタコレ!
踏み跡?踏み跡だよね!?
峠付近では踏み跡と思ってたどると、それは単に水が流れた跡で、辿っていたら危うく路肩から転落しかけたりもした。
でもこれは、信じてもいいんじゃないか?
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 47 集落の青い屋根も近い。
最近ではなかろうが、刈り払いの痕跡も見られる。
乗車はできないが、押しに必要な力は格段に少なくなった。

もう、ゴールしてもいいよね・・・?
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 48 「見えたっ!!」
大きく右にカーブを切ったところで、ついに現道の法面を視認した!
が、また藪がひどくなったっ!
最後の力を振り絞れ、俺!
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 49 とっ
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 50 ぱあああああああああ!!!!!!
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 51 午後1時10分・・・完走の瞬間である。

長かった・・・本当の意味での廃道への挑戦で、ここまで長い時間をかけ、長い距離を歩いたのは他にない。
距離としてはたった2.5kmでしかない。普通に自転車で進めば、10分もかかるまい。
その距離、たった2.5kmに、午前9時50分から3時間以上もかかった。
引き返そうとした回数も片手では数えられない。
そのたびに、「もうちょっとだけ・・・」と前へ進んできた。
結果的に、それが実を結んだわけだ。
感無量。
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 52 廃道区間を振り返って撮影。
まぎれもない旧国道(おそらく舗装済)である。
何の予備知識の無い者がこれを見て、「おっ、昔の道か?」などとのたまうのであれば、余程「コッチ(我々)」の世界の人間なのか、 あるいは余程「アッチ」の世界の人間だ。
ま、どっちも病気だけどね。

この薮は全体から見れば実にヌルいもので、薬師峠まではこの五倍の高さの藪が2km以上も続く。
国道253号 薬師トンネル旧道 薬師峠 53 現道との合流地点。
いかにもな旧道との分岐であるが、その先は藪地獄。
地獄の峠道は地形的にはそれほど厳しい道ではない。
それにもかかわらず、30年も前に全長2300メートルにも及ぶ長大トンネルによって葬られたのは、ひとえにこの地域の豪雪に起因するに違いない。
崩落は多くなくても、雪崩の危険を考えれば、相当期間が通行止めになっていたと思われる。
藪と格闘しながら、時速1kmにも満たない速度で相棒とともに旧国道の峠を突破。
廃美に乏しい道ではあったが、探索として何かをやり遂げた感は大きい。

その達成感を噛み締める間もなく、前回お伝えした謎のコンクリート塊について正体を探りに出発。
山中、自転車を3時間も担ぎ、押してきた疲れは、不思議なことにまったく感じられなかった。
別の謎を紐解きに、さあ行こう!
[ 07' 11/17 訪問 ] [ 08' 6/1 作成 ]
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