国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 2

概要

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネルの地図 岬の廃トンネルはまだ遠い。
美麗な廃道は、歩を進めるほどにその姿を変えていく。

2-1 火山半島

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 16 賽の河原のごとき異形の岩岩が続く道。
その岩は函型に削り取られ、短い間ではあったが自動車を通そうと人間達がこの地の自然に抗った形跡が残る。


足元には砂礫が広がり、柔らかなクッションの中を歩けるのはほんの少しだけ心地がよい。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 17 穏やかな足場はほんの一瞬で、すぐに荒々しい岩場となる。
路面を覆っていたコンクリートは波にさらわれ、かろうじて擁壁だけがかつての国道時代の遺構として残っていた。


亀田半島の先端には、今も噴気を上げる活火山、恵山(えさん)が海中からニョキッと顔を出しているのが見える。
この界隈の地形の過酷さを象徴する光景であろう。

2-2 銚子岬

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 18 現在地は旧道入り口から約1km地点。
この間、足元の様相は目まぐるしく変わり、申し訳程度にアスファルト舗装された道路が残っているところもある。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 19 一方で、土砂崩れで埋没するようなところは意外に少なく、自転車でも担ぎ前提ならば進入は難しくない。
まあ、廃道延長2.5kmもあるような区間では、序盤の路面状況などあてにはならない。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 20 すぐに、そらみろ、といわんばかりの崩落が道を塞ぐ。
1.5車線もない狭い道を、崩れた岩塊が覆っていた。
自転車を持ち込んでいたとしたら、確実に困難な場所となったはず。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 21 実際には上の写真で立っている場所よりもう少し先の場所が難所であり、安定しているのかしていないのか分からない岩の上を行かなくてはならない。
そのリスクを避けて海側の岩場への迂回を試みたものの、意外に旧国道路盤から波間の岩場へは高低差があり、よしんば降り得たとしても戻って来れないような可能性を感じ、素直に突入した。

狭い足場に加え、これらの崩落岩石を封じ込めていたはずの落石防護ネットが足元に散らばり、いやらしい弾力と傾斜で荒海へと誘う。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 22 そして、その崩落を境にして道の光景が豹変したのである。
新旧分岐部に見られて以来、久しく見ていなかった藪が前を塞ぎ始めた。

ここまでで全体の三分の一ほど来ており、ちょうど銚子岬にあたる場所で、そういった意味でもターニングポイントといえる。
周辺に岬を示すような人工物があった形跡は見当たらないが、ペンキでマーキングされた岩が目立っていた。
岩は崩落土の上にあり、国道現役時代のものではなさそうだ。
旧道落ちして、さらに崩壊が進むほどの時間が経過してから、誰かがこれを岬の目印としてペイントしたのだろうか・・・

2-3 山あり海あり廃墟あり

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 23 岬を回ると、最初の隧道である銚子トンネルが見えてきた。

しかし・・・そこまでの道は険しそうだ。
ほんの9年しか道路として行き来を許さなかった道に残る痕跡は乏しい。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 24 俺は山に登った覚えはねーぞっ!!

って叫びましたとも。
別に道を間違えたとかではなく、ここもれっきとした路盤の上である。
膨大な崩落土の上が密林と化していた。
一条の踏み跡が、暗い森の中へと続いていく。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 25 緑のトンネルを抜けた先には、本物のトンネルが待っていた。
その手前には・・・また廃橋らしきものが・・・
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 26 小さな入り江となったこのあたりには、久しく見ていなかった様な気さえする人間の生活があった。
比較的良好な状態で残された旧国道の路盤と、船着場の跡だ。
漁労に使われていたものだろうが、これもすでに役目を終えて久しい。
国道からそのまま廃道となったではなく、一時的にとはいえ村へ移管されたのも、このような漁民への便宜を見越したものなのかもしれない。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 27 坑口手前の廃橋・・・には国道らしさが感じられない。
前回見た「はなえ橋」とは程遠い、無機質なアルミ製の欄干だ。
船着場とあわせ、村道降格後に改築されたのだろうか。


なにげなく橋から山側を見てみると、廃道、廃橋、廃隧道につづいて、もうひとつのが見えた。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 28
廃墟ッ!!!
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 29 取り付け道路も跡形なく消えた激烈な藪をかき分けていくと、小さなそれが現れた。
規模は縦横数メートルほどで、大きくない。
また、金網が取り付けられた小さな窓と、足元のマンホールは、これが何かを入らずとも想像させてくれる。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 30 トイレでした。
でも煙突あったよね。へんなの。

2-4 銚子トンネル

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 31 さあ、本命の廃トンネルへと目を向けよう。

ゆるくカーブした取り付け道路は藪と土砂に埋まり、容易にはたどり着けなくなっている。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 32 独特な四角い坑口をしたトンネル、(旧)銚子トンネルである。
なお、書籍によってはカムイトンネルと称するものもある(北海道の道路トンネル第1集)

竣工年はこれまではっきりしていなかったが、掲示板にてATF様から頂いた情報によると、昭和41年との記録があることが分かった。
昭和41年は滝の沢トンネル竣工・開通の年であり、全線開通にあわせて竣工年としたものだろう。

岩盤をくりぬいただけのような外観をした坑口には、銘板も扁額も見当たらない。
一応、隧道リストには延長33メートル、幅員6メートル、限界高5.5メートルとの記述がある。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 33 立ちはだかる藪を掻き分けて中を覗いてみると、意外にも中は素掘りではなく、コンクリートで吹き付けられていた。
とはいえ幅員は1.5車線しかなく、昭和40年代に出来上がったトンネルとしてもあまりにもお粗末である。

昭和41年に道道として竣工、昭和45年国道278号指定、昭和50年旧道落ち。
竣工したそのときから、「厄介者」扱いされていたようでならない。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 34 一瞬ギョッとしましたよ・・・
埃にまみれたゴム長は、国道時代のものではなかろう。
釣りか、漁か、いずれにせよ、何年も使われた様子がない。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 35 足元は乾いた泥、それと剥離したコンクリート片が一面を覆う。足跡はない。
一応、かつては舗装されていたようだ。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 36 出口付近から振り返って撮影。
剥離した内壁の面積に対し、足元に散らばるコンクリート片の量は少ないように感じた。
崩れては欠片を取り払い、また崩れては取り払い・・・なんてことを何度か繰り返したのだろう。
今後は崩れ去るままだ。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 37 銚子トンネル古部側坑口。
こちら側にも土砂崩れが発生しており、徐々に侵食されつつある。
かたや、隧道そのものは岬の大岩をぶち抜いたようなもので、その堅牢性は十分に感じられる。
隧道そのものが崩落するより、坑口が埋まることのほうが先と思われる。
ここまでで約1.5km。一部の土砂崩れと藪以外は、いいペースで来ている。
だがしかし、残り約1kmの廃道区間に広がった光景は、もはや海岸の道ではなかった・・・
[ 09' 9/19 訪問 ] [ 10' 2/22 作成 ]
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