国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 3

概要

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネルの地図 廃橋、廃墟、廃隧道と、廃テンションになれる逸品が詰まった廃道。
ここまでの廃道に少なかった"アイツ"も、そろそろ本気を出してくる。
余計なお世話だ。

3-1 「大魔王を倒せ」といいつつ銅の剣しかくれない王様みたいな

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 38 銚子トンネル古部側坑口からの光景。
この先の暗雲を示すかのごとく広がる土砂。
だが、これはまだ「海の道」の姿であった。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 39 この場所には全線で唯一、ガードロープが遺されていた。
・・・今の時代に見られる、鋼鉄製のワイヤーロープではない。
単なる標識に使うような、虎縞のロープであった。
一応ゴムで皮膜されてはいるものの、それもひび割れ、錆びまくった支柱と共にこの場所の苛酷な環境を表している。

これは竣工当時のものだろうか・・・
こんなもので、大型車の突入を防げたとは思えない。
わずか9年しか使われなかった道は、旧道道、旧国道というよりも、工事用道路というほうがふさわしいのかもしれない。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 40 海岸の集落を結ぶ道として、その利用価値は低くなかったはずだ。
竣工から数年のうちに国道に昇格し、10年経ずして新道に切り替えられたこともその証左である。
道路としての敗因は、計画時点でその利用価値を見抜けなかったことにある。
「とりあえず通す」で終わってしまった道は、火山帯であるこの一帯の海岸線に耐えられなかった。

路盤は流出し、上からは土砂が覆いかぶさる。
残り1km、銚子トンネル出口のわずかな平場を最後にして、痕跡の消えた海岸線を歩くことになった。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 41 ・・・誰でしょう?
一応、道路が崩壊してからも、人類が通ったことはあったらしい。

3-2 海の道は山の道へ

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 42 "仁"の文字が、"山道"への道しるべ。
何か呪詛めいたものを感じてしまうほど、道の様相はヤマへと様変わりする。

大長編ドラえもんで、夏のキャンプで山に行くか海に行くかで揉めるシーンがあったが、この場所なんかお勧めですね。
山あり海あり冒険あり、命がお代の夏休み。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 43 一様に傾斜したこの場所に、かつて国道があったとは信じたくない。

・・・なんて泣き言を言っても、ここは廃道区間最深部、戻るも地獄、進むも地獄。
進んだ先にある廃隧道というご褒美だけを目指し、前へ。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 44 こういう場所では、基本的に藪が薄く、平場も期待できる海側を進みたくなるものだ。
それができないときは、このように山側に道を造りながら進むしかなくなる。

地形図では破線で描かれたこの道に、踏み跡すらもあるようなないような・・・やっぱねーや。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 45 昭和45年から50年まで、紛れもなくここは国道278号であった。
かろうじて残る擁壁は、当時のものだろう。
昭和一桁の道路にあるような、凸凹した貧相なコンクリートとはわけが違う。
それでも、この道の崩壊は防げなかった。

壁から生える手のような木々たちが、人間がつけた道路を奪おうと狙っている。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 46 上の写真のようにわずかな地面が見えたり、ましてやかつての道路の遺構が確認できるところはほとんどない。
藪に覆われ、路盤も分からぬ場所をひたすら切り裂いていくのがほとんどだ。
自転車置いてきて本当〜〜〜〜〜によかった・・・
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 47 高いも低いも分からないまま海側に出てみると、垂直の大絶壁がただひたすらに連なっていた。
そこで「その絶壁の足元に、かつての国道の痕跡が・・・」なんていえたらカコイイんだけど、あいにくそんなものは微塵もない。

行く手を遮るように横に伸びる岸壁は、屏風岩という。
その岩をよく見てみると・・・
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 48
屏風トンネル・・・

3-3 荒波の山

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 49 "ご褒美"は見えてきたが、そこへの道は険しい、というか存在しない。
路盤はガッポリと根こそぎ削られ、残る山側は崩落した土砂によって絶壁となり、往来不能。
路肩の崩落はそれほど深くなかったため、慎重に下まで降りた上で、向こう側の斜面を這い登った。
砂礫の斜面は蟻地獄のように滑り、登攀は命がけ。


久しぶりに開けたところで海側を見てみると、遠くに数艘の漁船の姿が見えた。
名も顔も知らぬ人間の存在に、心底ほっとする。
人間の本能的な快楽を感じられることも、非日常たる廃道探索特有の魅力だ。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 50 トンネルに近づくと、わずかながら踏み分け道らしきものが見えてきた。
比較的平坦な場所も見られ、上を木の葉が覆うような場所では下草がなく、歩きやすい。

それでも周囲の光景はやはり"山道"である。
ほんの数メートル横で砕ける荒波の音が、山を思わせる光景にはあまりにも似つかわしくないものだった。


豪快な波しぶきをBGMに、藪をかき分けた先に待つものは───
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 51
ご褒美♥
海の道のはずが、超えてきた道は山道だった。
藪に包まれた道が揃い、廃道オールスターズのドンたる廃隧道がその姿を現す。
[ 09' 9/19 訪問 ] [ 10' 3/8 作成 ]
前の記事へ次の記事へ
ひろみず http://d-road.sytes.net/ webmaster@d-road.sytes.net
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル1234