国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 4

概要

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネルの地図 銚子トンネル以来、山道に成り果てた海沿いの道を進むこと30分。
二つ目の廃トンネルである屏風トンネルに到達した。
ここまで来れば、現道復帰ももうすぐだ。
工事さえしていなければ・・・

4-1 屏風トンネル

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 52 昭和41年、道道尾札部戸井函館線として誕生。昭和45年、国道278号に指定、昭和50年、村道へ降格。


銚子トンネルと同じく、屏風トンネルも海に突き出た巨大な岩盤をぶち抜いたものだ。
素掘りと見紛うほどシンプルなポータルにはなんらの意匠も存在しない。


坑口周辺の植物には刃物で切断された跡があり、現道に近いとあって銚子トンネルよりは人の出入りはあるらしい。
屏風トンネル今昔
([左] 北海道のトンネル 第1集(昭和63年発行) 660ページより。原図はカラー。 [右] 平成21年9月)

屏風トンネルの今昔・・・といっても左の昭和60年ころの写真ですら、すでに村道となってしばらく経ったものだ。
第一回でもお示しした写真だが、二つの写真はほぼ同じ位置から撮影している。
この30年近い時間の中で、坑口手前にあったガードレールは消失し、ポータルも剥がれ落ちて変形してしまった。
村道時代からほぼ廃トンネルの様相であったのが、いまや埋没寸前である。

昭和63年のこの資料でも、荒廃しつつも村道として紹介されていることから、行政として正式な廃止手続きはとっていないのではなかろうか。
一応、現在の地形図でも徒歩道として一連の道が記載されている。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 53 さあて、出口の光も狭いながら見えているし、貫通できるでしょう。


ポータルを変容させる原因となった崩落が入り口の前にうずたかく積まれており、進入はやや緊張する。
見上げれば、次の一手がすでに待ち構えているのだ。

出口はさらにひどく、もはや坑口が閉ざされるのも時間の問題である。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 54 振り返って撮影。

屏風トンネルのスペックは幅6メートル、高さ5.5メートル、延長は資料によって異なるが、30メートル前後である。
また、素掘りではなく、コンクリートを吹き付けられている。
いずれも銚子トンネルとほとんど同じだ。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 55 出入り口ともに土砂や岩塊が流入しており、平場として洞内に残る部分は短く、すぐに出口に達する。
坑口の天辺近くまで積もった土砂には、一本のロープが垂らされており、人間のにおいを感じる。
しかしながら、そのロープの上端は崩落してきた岩に括り付けられており、体重をかけるのは心許ない。
うんしょと掴まったとたん、その巨石がごろりと自分に向かって転がり落ちてくるかも知れぬ。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 56 土砂に埋まっているこれって、ひょっとして昭和60年ころの写真にあった、車止めのコンクリートブロックか・・・?
土砂に押し流されてきたのか、その後に人為的に積まれたものなのかはわからない。
そもそも、洞内にまで流入した土砂が、上から降ってきたものなのか、のち(昭和60年ころの写真では開口しているので、それ以降)に人為的に詰め込んだのかもよくわからん。
まあ、旧道全体の荒れ様からすると、前者のような気がする。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 57 出口をふさぐ土砂を登りきり、振り返って撮影。
ご覧のように、出口はもはや中腰でも通れる高さではなく、這うか滑り込む形でなければ進入不能だ。
実際、ここを出たときも土砂に這いつくばる形でのっそりと出てくるより他なかった。

向こう側の坑口くらいまでは極稀に人が入ることもあるかもしれない。磯釣りくらいはできそうだ。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 58 坑口から先の様子。

ここまでくれば、現道までの距離は200メートルほど。
残る懸念は、半年前にそうであったように、現道への合流地点で工事が行われている可能性だ。
たとえそうであっても、まさか関係者に「引き返せ!!」と言われはすまい・・・

いわれたら、なんて言い訳すればいいのだろう?
「散歩してました☆」で通るかな?
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 59 屏風トンネル出口・・・といってもほとんど埋まってしまった。
わずかに残る上部の亀裂のみで、かろうじて人間を通すことができる。

4-2 最後の関門は人類活動?

国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 60 屏風トンネルが貫く岩を、屏風岩という。
これには、手持ちのGPSでは景勝地マークがつけられていたりする。
ここが現役だったわずか9年の間に、ある程度は名の知られた名物であった名残なのかもしれない。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 61 現道までもやっぱり「山の道」。
屏風トンネル手前よりは人が入るらしく、一条の踏み跡を頼りにして進む。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 62 国道が滝ノ沢トンネルに入るその場所に、トンネル名の元となった大きな滝が海に注いでいるのが見えた。
この垂直の大絶壁のどこかに、以前探索した素掘り横坑が3つも開いているはずなのだが、確認できなかった。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 63 生還!!


椴法華側の旧道入り口から約1時間半、現道との合流地点手前の工事用道路に到達した。
幸い工事は行われておらず、いろんな意味でほっと一息。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 64 振り返って撮影。
新銚子トンネルの工事に伴ってか、現道とはやや高さが異なっている。
足元の砂利も、現役時代のものではなさそうだ。
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 65 「うえ、もしかして工事が行われていないのは、災害の危険性が高まって、作業員たちも"避難"してしまったからでは・・・」

この看板を見てそう思ったが、半年前の工事最中の写真にも写っていた。
「使用」って、何をどう使用するんだろう?旧道の使用?
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル 66 2時間ほど前、車で通過したときにはいなかった自動車が止まっていた。
磯釣りや、先ほどの滝を見るためには、この場所は使えるかもしれない。そういった駐車場的な「使用」という意味だろうか。


右には、旧道延長約3kmを短絡する(新)銚子トンネルが口をあけている。
その延長は1437メートルもあり、はなえ橋においてきた自転車にたどり着くまで、もう少し苦難の道を歩むことになりそうだ。
廃橋に始まり、廃墟、廃隧道といった廃のメンバーを取り揃え、時折激しい藪や崩落を攻略して行かなければならない旧道は、変化に富んでいて飽きさせない。
また、廃美にとどまらず、一般的な意味でも奇岩の続くこの道は実に美しい。
道路といえども「腐っても鯛」というような、廃道の手本のような楽しい道であった。

自動車交通には快適な新トンネルを1km以上も歩きながら、快適なのと楽しいのとは必ずしも一致するもんじゃないなあ、なんて考えてみたり。
[ 09' 9/19 訪問 ] [ 10' 3/28 作成 ]
前の記事へこれより先の記事はありません
ひろみず http://d-road.sytes.net/ webmaster@d-road.sytes.net
国道278号 新銚子トンネル旧道 銚子トンネルと屏風トンネル1234