国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 4

概要

国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道)の地図
原木側の柵を越えてから、まだ15分ほど、距離は300メートルちょっと。
この間に隧道(痕跡含む)が5つもあった。
あらゆる点で、凄まじい廃道だ・・・

4-1 原木六号隧道

国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 48 覆道付近から先。
比較的海岸線から離れているため、かろうじて石垣が残っていた。
そしてその先の「見るも恐ろしい」絶壁に、小さな穴が開いているのが見える。
ボロボロの・・・
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 49 それは原木六号隧道の、今の姿であった。
坑口に付設された落石覆いは、防ぐべき落石によってメシャアッと音が聞こえてきそうに崩れている。
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 50 鉄板が・・・ペラペラだ。紙のように。風に揺れる。
こんな有様でも、40年前は銀色をして、その剛性を以って頭上の落石を防いでいたはずなのに。
五号隧道の消滅年と同じ年の改良とすると、たった6年間しか使われなかったとはいえ。
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 51 振り返って撮影。

落石覆いが不連続断面になっているのは、勿論元々こうだったのではなく、天井部分が落ちてしまったためだ。
今地面に突き立っている部分が、昔は天井を覆っていた辺りだろう。


五号隧道後の落石覆いといい、昭和40年代に完成した鉄骨の道路構造物としては、あまりにも劣化が進んでいる。
目の前が海のこの場所では、潮風によって劣化が早まるようだ。
これが深い山中にあったのなら、ここまでズタズタにはなっておるまい。
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 52 何とか形状を保った山側の箇所には、覆いの外側にきれいに切りそろえられた坑木が並んでいた。
それらも腐食して、表面はミイラのようにボロボロに見える。
まだしばらくはこのままありそうだが、坑口ごと崩落に巻き込まれる日も遠くはなさそうだ。
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 53 原木六号隧道は一連の原木隧道の中でもっとも長く、延長は43メートルと記録されている。
柱状節理をくりぬいたがために、柱を切断したような奇妙な形状の壁面が向こうまで続いている。
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 54 崩落の程度はこれまでの隧道に比べると幾分マシだ。
掘りっぱなしの洞床は歩きにくいが、今までの隧道や外に多い角ばってゴツゴツした岩塊は少ない。
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 55 前言撤回。
部分的には、やっぱりどうかなっていた。
ただ、これらの岩は上から落ちてきたというより、足元が崩壊したもののようだ。
隧道内で陥没という普通は考えにくい現象が起こった理由は、この右側にある。
柵のように見えるコンクリートの壁に注目。
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 56 横穴!
壁には亀裂が入り、そこから海が見えていた。
以前佐渡で見た隧道のミニチュア版といった感じだ。
足元の構造もおおむね同じで、元々この場所の足元は中空構造だったのだろう。


横穴との境界をなす低いコンクリートの壁は古く、竣工当時のもののようだ。

4-2 ドキドキ二種類

国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 57 六号隧道を抜けると、また足元がなくなる。
しかも、どういうわけか底には波飛沫が舞っていた。
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 58 以前はここはどんな構造だったのだろう・・・
昭和初期の技術で、海を埋め立てたつもりだったのだろうか。
それとも、暗渠のようになっていたのだろうか。
わずかに残ったコンクリートだけが人造の道であることを物語るのみで、そのほかは圧倒的に"海"の姿をしている。
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 59 振り返って原木六号隧道日浦側。

消えた路盤をたどるわけにもいかず、ここも一度谷底にまで降りる必要がある。

隧道側面のカニカマボコのような断面も、柱状節理の特徴だ。
こういう地質のために、昇り降りに関してはことのほか楽ではあるんだが・・・
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 60 反面、脆さに関してはひどいものだ。
隧道の中だろうと外だろうと、崩れていないところなどどこにも無い。

おまけに、角ばった岩塊が敷き詰められた足元は極めて不安定である。
普通、土や小さく丸い石が混ざるような土砂崩れでは、時間とともに安定し、最終的にはただの斜面になるものだ。
しかし、ここはそういった岩と岩の間を充填させるような材料に乏しく、どの崩落現場も、岩がフラフラしている。
事故にあって帰れなくなるとしたら、崩落に巻き込まれるのではなく、転倒して骨折したり頭を打ったりするのが原因となるんだろうな。
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 61 そういった意味で、そんじょそこらの廃隧道よりも不帰の事態となり得る可能性は高いわけだ。
ただでさえ安定しない足元に加え、吹きすさぶ強烈な風ではまっすぐに立つことすら難しい。
ちょっと行けば行き止まりと思っていた廃道は、思いのほか危険で長く、まだ終わりを見せない。
国道278号 日浦トンネル旧道 日浦岬の原木隧道(原子隧道) 62 そういう状態が続くほど、鼓動の高ぶりにおいて"恐怖"が占める割合が高くなっていく。
それがいつか限界を突破すれば、恐怖に負けてのギブアップ、帰還を選択するだろう。
が、この道はそんなことを許してくれない。
進めば進むほど、恐怖のドキドキを覆い隠すような興奮のドキドキを喚起するから───
足は滝の沢トンネルの横坑で濡れたきり、強く冷たい風に冷やされっぱなし。
不思議なことに、それでも頬が汗ばんでいることを感じ始めた。

次回、最後の隧道が待つ。
[ 09' 3/20 訪問 ] [ 09' 5/10 作成 ]
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