国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 2

概要

国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道の地図
崖に穿たれた大小二つの穴。
片や大正、片や明治の古い穴。

2-1 旧旧幌満隧道

国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 13 正面の小さな穴は海食洞?
いやこれは・・・えーと、旧道が旧幌満橋で崖を回ってて、旧旧道が右の幌満隧道だから、旧旧旧道のようだ。

隧道手前の路盤は消滅しており、岸辺にまで降りる。
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 14 第一回のイントロでお伝えしたとおり、この場所にそれなりにまともな海岸道路が生まれたのは、明治24年のことと伝えられており、本レポートではこれをもって初代の道としている。
それ以前は第一回でお伝えした念仏坂によってこの岩場を越えていたらしい(荒天時は様似山道)。
明治24年、北海道庁の道路開削方針に従い、険しい海岸線であったこの付近の開削工事が進められ、11箇所もの隧道が掘削された。

後に拡幅されたり、岩場を切り崩したりしてそのほとんどが消滅してしまったが、このように新トンネル(といっても大正時代のものですが)の脇に今でも開口するものが残っている───と、様似町史にはある。
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 15 これがその明治24年にできた初代幌満隧道だろう。
竣工からは120年近く過ぎたもので、私が今までまともに目にすることができた道路隧道の中ではトップクラスで古い。
この路線は大正9年から地方費道帯広浦河線に指定されていることから、大正12年に二代目幌満隧道に切り替えられるまでの短い間、ここは道道であった可能性が高い。


隧道手前は完全に海面下に沈んでしまい、濡れずに進入することは不可能。
延長は数メートル程度で、反対側の景色も見えている。
反対側は旧幌満橋の橋台によって遮られているのが見えており、向こうからアクセスすることも無理だ。
短い分全容はここからでも確認でき、幅は1メートルそこそこといったところで、人か馬くらいしか通ることができなかったという初代の道路の特徴とよく一致する。


初代幌満隧道の工事には、浦河の石工、田中五作氏がかかわったとされる。
氏の築き上げた11もの隧道、今に残るのはいったいいくつあるのだろうか・・・

2-2 金属の綱渡り

国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 16 まあ、初代はほとんど全部見えていたから、わざわざずぶ濡れになって進入することもなかろう。
ということで、初代たる旧旧幌満隧道を廃止に追いやった旧幌満隧道に目を向ける。

初代幌満隧道の路盤は海面スレスレにあって、当然のごとく水没しやすい。
二代目幌満隧道はその反省を生かしたのか、その路盤は海面の高さから見ると見上げるところにある。
・・・どうやって入ろう。
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 17 真正面はオーバーハング気味になっているうえ、手をかけただけでボロボロと崩れる軟弱な地質により、進入不能。
写真はその左側を写したもので、こちらは狭いながらかすかに傾斜がついていて行けると思いきや、水がかかるために海草が繁茂し、ぬめってぬめって全く足を乗せられない。
2、3回チャレンジして諦めた。
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 18 残るはここしかないのか・・・

これは坑口に向かって右側。洞床から突き出た鉄パイプは、おそらくかつてこの場所を埋めていた路盤に入っていた排水管だ。
その路盤が流出して排水管だけが残り、自重のためにひしゃげているのが現在の姿。
管径5cm程度、埋設から半世紀は経っている上に塩水に洗われまくるこの錆びた鉄パイプに、己が体重を預けろと・・・
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 19 悩んだところでもはや他に選択肢は無い。
グイグイと引っ張ってみたりして(気持ち的に)強度を確かめた後、おそるおそるその上を伝っていった。

最初の数歩はコンクリートの塊の上を歩けたものの、最後の2〜3歩はどうしてもパイプの上に全体重をかけて登って行かなければならない。
カニ歩きになって坑門に手を預け、ビクビクしながら登りきった。
ヘルメットが無かったら撤退していたかも・・・

2-3 旧幌満隧道

国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 20 ともかく到達しました、二代目幌満隧道。塞がってますが。
現道からは内部の様子がただ真っ暗にしか見えなかった状況も、閉塞ということで結論。

が、光はある。なぜか上からの。
「閉塞した隧道の天井が破れ、そこから光が漏れている」
滅多に無いそんな状況だった。
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 21 振り返って撮影。

竣工は大正12年、延長30メートル、幅員・高さともに3.5メートル。
現道(・・・じゃなくて今はもう旧道になった旧幌満橋)への切り替えは40年以上前と古いせいか、ほとんど改良されること無く素掘りのまま、未舗装のままである。
北海道の道路隧道で、大正時代のものが残っているのは非常に珍しい。
ああ、なんという恍惚感・・・
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 22 まるまる素掘りで入り口付近では風化した路盤が人間の握力で簡単に崩れてしまうものでも、内部の状態はぼちぼち。
目の前の莫大過ぎる土砂量に比べれば、洞内の崩壊の程度はさほどでもない。

閉塞地点は入り口から数十メートル地点であり、ほぼ反対側の出口付近のようだ。
その周辺だけコンクリートによって巻き立てられている。
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 23 光が漏れていればやっぱりそこを覗きたくなるのが人情ってもんでしょう?

土砂は砂やら岩やら金属やら、雑多なものが混じっている。
金属が混じっているということは、天然の落盤というより人為的な埋め戻しの可能性を示唆する。
が、錆びた落石防止ネットが外から雪崩れ込むという可能性も無くはない。
落盤か、埋め戻しか、実はレポートを書いている今でもその判断ができていないでいるのである。
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 24 人間が何とか出入りできる程度の狭い天井の隙間から身をよじっていくと、確かに外が見える。
完全に開放状態なのかと思いきや、開口地点はネットでしっかりと覆われており、いったいこの土砂がどこから来たのか、というのが疑問だ。
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 25 さらによじ登り、左(入口側)を撮影。
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 26 こっちは右(出口側)。

ご覧の通り、いずれもしっかりとネットで覆われており、出るも入るも不可能だ。
這い蹲って出てきたこの天井の穴、崩落してポッカリ穴が開いた、というわけではないような気がしてきた。
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 27 延長的にはこの辺りが出口なはずだし、振り返ってみるとコンクリート製の巻き立てには笠石らしき構造が見える。
素直に見れば、坑口の埋め戻し、あるいはポータル上部の崩落などが起こり、完全には塞がりきらなかった場所がこの隙間、ということになるだろう。

それでもなお結論を言い切れないのは、坑口のアーチ部分に存在する岩盤のせいだ。
その岩盤はアーチに突き刺さるように存在しており、埋め戻しや崩落のような自然の力では絶対にありえない配置をしている。
このコンクリートが隧道内の覆工ならばまだしも、これがポータルだとしたら、岩盤が突き刺さったポータルという前衛芸術のような奇天烈な容姿であったことになる。
もしくは片洞門のように、ポータル左側は自然の岩盤、右側はコンクリート、なんていう突飛な構造だったり───

ここが坑口なのかどうか、この土砂が崩落なのか埋め戻しなのか、どうにも決定打に欠ける。
国道336号 幌満トンネル旧旧道 幌満隧道 28 ちなみに、今までお伝えした「上の穴」のほかにもうひとつ、「前の穴」もあったりする(場所はココ)。
ただし、こちら側は狭く、私の体は入っていかない。
前方数メートルのところから光が差し込むものの、外の光景は全く見えなかった。


・・・人為的な埋め戻しにしちゃあ、周辺の土砂は崩れた岩そのものって感じがしない?
出口付近の要素は複雑で、明らかな人工物を含んだ土砂と自然に崩れたような岩とが入り混じっている。
あるいは、埋め戻された上に崩落が起こった可能性もありうる。

出口へは旧幌満橋を行けば回り込むことができるはず。
この様子では坑口確認は難しそうだが、日高耶馬溪といわれた道へはぜひとも行っておきたい。
[ 09' 8/24 訪問 ] [ 09' 9/22 作成 ]
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