国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 4

概要

国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道の地図 復旧の進む道をのんべんだらりとサイクリングを楽しんでいる余裕は一気に吹き飛んだ。

それまでも小規模な路肩の消失はあったが、これはもうレベルが違う。
ついに、命を懸けて乗り越えねばならない壁が、立ちはだかった。

4-1 あと少しなのに・・・

国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 40 致命的だ。
致命的過ぎる。

上からの大崩落はなかった代わりに、路肩が大崩落。本来の舗装部分は完全に消え去り、 わずかな植生に守られた反対側の路肩のみが生き残っている。その幅1メートル弱。
憐れここまで供にしたキャタピラの跡も、この手前で帰ってしまった。


だが私は負けない。
まだまだ数は少ないとはいえ、いくつもの廃隧道と廃道、廃墟を踏破してきた。
進むべき路がある以上、私は、負けない。



でも、自転車は置いていくことにした。
国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 41 ごめんな、やっぱり怖いんだ。

見たところ、隧道の長岡側坑口まではほんの100メートルほどだから、許しておくれ。
国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 42 よく見ると、作業員がつけたと思われる踏み跡がうっすらと藪の中に続いていた。
非常に弱弱しいものではあるのだが、大きな心の支えになる。人が歩けた道が、何ぞ私に歩けぬものか。

失われた路盤に突き刺さっていたであろう支柱たちが、例によってぶらぶらとこっちを見ている。
国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 43 突破!

踏み跡はかなり崖っぷちを進んでおり、足の置く場所を間違えば滑落するだろう。また、すべからく植物を掻き分けて進むわけで、 茎や蔦につまずけば一巻の終わりであることを付け加えておく。
国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 44 寂しげに見送る相棒に一時の別れを告げ、その先へと足を向ける。

この付近は災害前から手入れがされていないようで、そこかしこに廃美の匂いが感じられる。

4-2 中永隧道長岡側坑口

国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 45 実にここへ到達するのに、正味9ヶ月もかかった。今その前に立つ。
隧道手前にもいくつかの遺構がある。
国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 46 まずは三島町の標識。
先ほど述べたように、三島町は平成17年4月を持って合併により消滅しており、 この看板がこのまま数十年を経てもなおここにあり続ければ、お宝標識のひとつに数えられることだろう。
対する出雲崎町の看板はない。あるとすれば隧道の出雲崎側出口にあると思われるが・・・以前探索を行ったときには、 そのような看板は見当たらなかった。
実際の境界は隧道の内部であり、穴蔵様によれば、 隧道内部にはそれを示す看板もあったらしいが、うかつにも撮影は失念した。
やはりじっくり観察するには、自転車で通るよりも徒歩のほうが良いようだ。
国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 47 そして脇へ伸びる怪しげな道。
地形図によればこの先に建造物があり、そこへの道らしいが、すっかり廃道化している。
冒頭で復旧工事がこの建物へのアクセス路を復活させるためではないかと考察したが、はっきり言ってまともに使われている様子がなく、 この先の建物が廃墟と化していても不思議ではない。
すくなくとも災害があった日から工事が完了するまでの一年半にわたって車両交通がないわけで、こんな山中に一年半も放っておけば、 それだけで廃墟に等しくなるような気がするが・・・

時間の都合でこの先の探索は見送ったが、いずれその詳細を明らかにしたい。
06' 1/24 追記

掲示板にて、"元柏崎市民"様より情報を頂きました。
この先にはかつて旅館があったものの、30年近く前に廃業。
しばらく廃墟として存在していたようですが、後に放火によって焼失したそうです。
場末の旅館に凄絶な最期・・・その痕跡だけでも、調査したいところです。
国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 48 たどり着いた中永隧道長岡側坑口。相変わらず強固な金網で封鎖されていた。

何者か知らないが、隧道内部からはギャーギャーという不可解な音が聞こえてくる。
カラスのような、コウモリのような、廃隧道から響く得体の知れない物音にはさすがに不気味さを禁じえなかったものの、 金網の隙間から飛び出してきたのは鮮やかな緑色をした見たこともない鳥であった。

ひっそりと余生を送る廃隧道が、鳥という伴侶を得たのなら、それもまた良いだろう。
国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 49 こちら側にも右書きで扁額が取り付けられていた。文字の左側には不自然なスペースが空いており、 竣工年などが記載されているのかもしれないが、残念ながら遠くてよく見えなかった。
出雲崎側と同様に、銘板はない。取り付けられていた形跡も見当たらず、元々なかったように思われる。
国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 50 金網よりカメラを突っ込んで撮影。
第一回の写真と同じ光景だが、外へ出られず中から振り返って撮ったものと、外から撮ったものではまた写真の重みも違う。

内部は特に前回から比べて異常があるわけでもない。まだしばらくはこのまま安定してくれるだろうが、長岡側片方だけを封鎖する意図がはっきりせず、 いずれ完全に密閉されるのかもしれない。実際、放棄後数年の間は簡易的な封鎖にとどめ、適当な時期にコンクリートで密閉というケースは多い。
国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道 51 帰りしな、隧道付近で見かけた崩落注意の標識。これに補助標識をつけられているのはそう多くないのではないか。
この標識からちょうど100メートル地点が例の大崩落現場であり、現役時代からあの箇所は崩落が多かったのか。実に的を射た標識であった。
帰りの崩落地点という最後の試練を越え、ついに中永トンネル旧道区間を走破した。
復旧工事でかなり手を加えられるものと思われ、旧道独特の匂いが加わるにはまだ時間を要するだろうし、 出雲崎側はこの先も現役さながらに利用され続けるだろう。
その完成をもって全通に至り、そして皮肉にも放棄される原因ともなった頂の隧道だけが、往年の面影を伝えていた。
[ 04' 10/17、05' 7/17 訪問 ] [ 05' 11/2 作成 ] [ 06' 1/24 追記 ▼該当箇所にジャンプ ]
前の記事へこれより先の記事はありません
ひろみず http://d-road.sytes.net/ webmaster@d-road.sytes.net
国道352号 中永トンネル旧道 中永隧道1234