国道403号 小国隧道 1

概要

国道403号 小国隧道の地図 現役の明治隧道。
これにときめかない道路フリーカーはいないはずだ。
それが、目の前に迫っている。

1-1 失望・・・?

国道403号 小国隧道 14 もう坑口の目の前にいるのだが、隧道に目を向ける前に周辺の状況を見てみよう。

坑口に向かって右手には、怪しく延びる車道(の痕跡)がある。
地図によると、しばらく先まで続いているようだが、尾根を越えることはできないようず、もちろん隧道の旧道というわけではない。
イントロで紹介したとおり、ここには車道での峠越えの道は存在しない。
写真右上の鞍部がどうやら徒歩道時代の小国峠らしい。
峠付近には石碑が置かれているというが、ちょっと私の守備範囲外だ。
国道403号 小国隧道 15 また出た通行止めの看板。
通行止めなのか片側交互通行なのか分からないけったいな道である。

看板には「崩落箇所多数あり」とある。
もしや隧道内崩落か?
国道403号 小国隧道 16 で、これが小国隧道小国側坑口である。

・・・・・・


つまらん。

現役の明治隧道ということで期待していた(今回の探索は多少の事前調査を行っていた)のだが、徹底的に改修されたと思しきその外見に、 明治の浪漫などどこにもなかった。
ファック。
国道403号 小国隧道 17 まあとにかく入ってみよう。

入口の看板には「崩落箇所多数あり」とあったが、見る限り崩れている様子はない。
また、一応通行止めのはずなのだが、しっかり明かりもついており、当然ながら通過に不安は全くない。

入口付近のスノーシェードの向こうはコンクリートを吹きつけてある。
素掘りの壁面に吹き付けたというわけではないようだが・・・?
国道403号 小国隧道 18 入口から10メートルほどのところには妙な施工が。
後から補修したのだろうが、ここだけ鉄板の合掌造りチックなのは妙に違和感を覚える。
国道403号 小国隧道 19 中ほどより振り返って撮影。

特徴的なのはトンネルによくあるナトリウムランプではなく、蛍光灯であることだ。
このために、隧道を通っていてもなにやら遊歩道を歩いているかのような、不思議な気分にさせられる。
実際には遊歩道どころか、ここは現役の国道なわけだが。
もちろん、明治の竣工当時は明かりなどなかったのだろう。
延長は300メートル近いが、明かりなしで歩くのはなかなか苦労したかもしれない。

1-2 その真実を前にして、己の浅きを知れ

国道403号 小国隧道 20 特にどうということもなく反対側の坑口に到着。
なーんか、期待はずれ。
内部もすべてコンクリートに覆われており、明治隧道としては何の面白みもなかったが・・・

んん?
こっちの坑口はなんか妙な構造をしているな。
国道403号 小国隧道 21 入口の小千谷側坑口は何の変哲もない格好をしていたが、こちらには径の異なる二つのスノーシェードが連続していた。
手前のスノーシェードと奥のスノーシェードの間(径が異なるために生じた隙間)は密閉されておらず、金網で覆われている。
これが明り取りの役割を果たし、薄暗くなりがちなスノーシェード内部でも十分に開放感が得られる。
「へー、ま、おもしろいんじゃない」

これが、このスノーシェードを見たときの素直な感想。
期待はずれの小国隧道にやさぐれていた私は、もう何がきても驚けないでいるようだった。
峠を目指して走ってきた道のりが、無駄にしか思えなかった。


だが、上の写真を撮って振り返った瞬間、私は驚愕した。
今までの私が如何に浅薄であったかを、思い知らされた。
それはまさに、死者をも呼び起こす強烈な衝撃。

見せよう、小国隧道、その真の姿を。
国道403号 小国隧道 22
うわらば!!!
国道403号 小国隧道 23 レレレレレレンガだよおい!!!

右書きの扁額、帯石、要石、全て健在!
ああ、なんということか!
「つまんねーつまんねー」とか言っていたが、一番つまらなかったのは私の頭だったのだ!
明治の遺構の中にいながら、なんと言う暴言を吐いてしまっていたのだ!!
国道403号 小国隧道 24 扁額拡大図。
右書きで「国」が旧字体なのはわかるが、「道」まで妙な字である。
これも旧字体らしいが・・・

また、隧道名の下にはやはり右書きで何か書かれている。
残念ながらよくは見えなかったが、おそらくこの隧道の竣工年を記載しているものと思われる。
国道403号 小国隧道 25 坑口横に作られた石造りの排水溝も、竣工当時のものだろう。
レンガの抗門とよくマッチしており、実にすばらしい。

1-3 輝き放つ名脇役たち

国道403号 小国隧道 26 ちなみに小千谷側から登ってきた場合、最初に目に付くのは敷設されたスノーシェードだ。
レンガの坑口はここから数十メートル中に入ったところにある。

普段ならレンガの坑口を隠蔽する現代的なスノーシェードに忌避感を感じるところだが、ここは違う。
そのわけは、ここから入っていけばわかる。
国道403号 小国隧道 27
見よ、レンガの坑口に視線を集める、
集中線の美しさを!
国道403号 小国隧道 28
そして感じよ、明治の隧道を照らす、
間接照明の輝きを!
国道403号 小国隧道 29 先ほども述べたが、小千谷側抗口には口径の異なる二つのスノーシェードが付属している。
その接続箇所は金網で覆われており、そこから太陽の光が差し込んでくるのだ。
その柔らかな明かりがレンガを照らす間接照明となっており、この芸術品を何倍にも輝かせている。
博物館か、美術館のような、幻想的な光景が、現役の国道に作り出されているのだ。
もしも計算してこのような設計にしたのだとしたら、私はスノーシェードの設計士に惜しみない敬意を表したい。
素晴らしすぎる。
国道403号 小国隧道 30
見事

1-4 小国側坑口でも

国道403号 小国隧道 31 さて、小千谷側に降りてもしょうがないので、隧道に戻って元来た道へ。

来るときは気がつかなかったが、吹き付けられたコンクリートをよ〜く見ると、無数の筋が走っているのに気がついた。
十中八九、レンガの跡に違いない。
ポータルのアーチは石組みであったが、内部はレンガ製であったようだ。
国道403号 小国隧道 32 つまらんつまらんと連呼した小国側抗口に戻ってきた。
こちらにもスノーシェードがつけられているわけだが、小千谷側にレンガの抗門があったことから、 小国側にも同様の構造があることが予想された。
内部にはそのような構造は一切なかったが、ひょっとしたらスノーシェード外側に何かあるのではないかと考え、探索を開始。
スノーシェード横の斜面にへばり付き、無理やり登攀を試みた。
国道403号 小国隧道 33 ほとんど垂直の登攀には苦労したが、何とかスノーシェード上部に到達できた。

で、スノーシェードが尽き、本来の抗門があると思われる場所を見てみたが、どうやらレンガではなく、コンクリートのようだ。
こちら側は改修により相当外見も変わってしまったようだ。
だが、近づいてみると、また新たな発見が。
国道403号 小国隧道 34
扁額!!!!
国道403号 小国隧道 35 失われたはずの小国側抗口の扁額が、こんなところに!

右書きの文字に、ひょっとして明治のものかと期待したが、そこに書かれた竣工年は「昭和三十五年」。
小国側の抗門が改修されたときのものだろう。
明治のものではなかったが、普通は目に触れないところにあるお宝である。
本当に、ここ小国隧道はいい意味で期待を裏切ってくれる隧道だ。
国道403号 小国隧道 36 小国側坑口は、ちょっと小さめとはいえ、こんななんでもないものなのだが・・・
そこに見出された数々の遺構には本当に驚かされた。

「お前には、してやられたよ」

そんな苦笑いを浮かべつつ、次の物件へと向かった。
廃隧道や立ち入り禁止の旧道では、「ここはぜひ行ってほしい!」などとはいえないが、小国隧道は大手を振ってお勧めできる。
工事が終われば再び国道として開通するだろうから、スノーシェードによってその美しさが倍化されるという、 奇異な特徴を誇る小国隧道にぜひおいでませ。
[ 06' 7/8 訪問 ] [ 06' 8/25 作成 ]
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