シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 3

概要

シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道の地図 ほとんどの路盤が消えかかっているが、浸食を受けない隧道だけは、状態良く残っていた。
国道には一応「くぐり岩」との看板があり、まだ遊歩道の使命は続いているのかもしれない。

3-1 トマソン

シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 31 この先を見る前に、横の岩塊の隅に作られた遺構に注目したい。

位置的には先ほどの雷岩を回り込んだところに作られており、どう見ても階段である。
だが、階段の先には何も存在しない。この先は波に削られて消失したのだろう。

疑問なのは、この階段がどこへ通じていたのか?である。
仮に、この階段が現役当時には、岩を巻いて向こう側へ行くものだとしたら、先ほど私が通ってきた隧道ができる以前の道と考えられる。
しかしながら、前回お伝えしたように、岩にはいくつもの巨大な海食洞が口をあけており、その口を渡る橋でもない限り、 水面スレスレを巻いて行くことは物理的に不可能なのだ。
水面スレスレでないとしたら、山越え以外にないのだが、少なくともかつての地形図を見る限り、山越えの道はここからアプローチしていない。
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 32 階段が登っていくべき場所にも一切の道の痕跡は見当たらず、ただ入口の階段だけが取り残された形になっている。
さらに、その階段までも今では陸続きになっていないため、濡れを覚悟しなければそこに立つことすらかなわない。

いったい、あれは何のために作られたのか?
コンクリートの劣化ぶりを見るに、相当な年代を経過しているようだが・・・
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 33 階段と岩の位置関係を示す。
このように、海面を伝って穴ぼこだらけの岩を回り込むことはできない。

階段があるくらいだから岩の頂上付近まで出ていたのかもしれないが、もっと陸側に山越えの道が存在するのに、それも妙だ。
かつて、この辺りには観光用の遊歩道が整備された時期があったというが、それに関連したものだろうか?

謎だ。

3-2 第二隧道

シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 34 砂浜を少し行くと、再び丸い石が転がる足場の悪い場所になる。
よく見ると岩の壁沿いにコンクリートの舗装の形跡が見えるが、ほとんど失われている。

もう見えているそれに、一目散に近づいていく。
が、ひどい足場のため、前ばかり見ていると転倒しかねない。
慎重に、慎重に。
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 35
第二の隧道!
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 36 そのまんまだが、正式名称が分からない。
先ほど通ってきた隧道を第一隧道とし、これを第二隧道と命名しよう。

第一隧道では、国道も小浜トンネルというトンネルで岩塊を貫いていたが、第二隧道に対応する国道のトンネルはなく、 国道は隧道のかなり上方の崖を削って走っている。
写真右側のコンクリートの壁は国道のものだ。

今でこそ国道指定を受けている頭上の道路も、シーサイドライン開通以前は観光用の町道であった。
それはここより北、角田浜の集落から小浜トンネルまでの区間がそうだ。
町道は一車線の道路で、小浜トンネルは開通していなかった。
シーサイドライン建設にあたり、一車線道路の拡幅、および、小浜トンネルの掘削を行ったらしい。
「越後七浦有料道路工事誌」にあるこのあたりの着工以前の写真を見てみると、確かに着工前からこの頭上に道が走っており、 第二隧道もその小さな口をあけている。

その拡幅工事の影響か、隧道はギリギリまで圧迫されている。
また、天井には明らかに亀裂が走っており、自然に崩落するのも近いだろう。
ここが崩落すれば国道の路盤に影響するのは必至であり、ことによっては人為的な撤去工事が行われる可能性も否定できない。
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 37 ってゆーかもう崩れてますが。

こちら側には頭上の亀裂のみだが、向こう側の坑口は今にも塞がりそうだ。
相互リンクサイト、はぢめさんのお部屋にもこの隧道の紹介がなされているが、公開されている写真では崩落など起こっていない。
どうも比較的最近に崩れたようだ。
ただ、この隧道も2年前に探索済みで、そのときすでにある程度は崩れており、崩落現場をよじ登った覚えがある。
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 38 崩落こそしているが非常に短い隧道のためか恐怖を感じるようなことはない。
入口からほんの数歩で、向こう側の坑口に達することができるほどの長さだ。

崩落地点の足元にはグシャグシャになった通行止めの看板が落ちている。
一見すると崩落によって押しつぶされたように見えるが、これは暴風で運ばれたか、あるいは人為的に持ち込まれたものと考えられる。
そのわけは、2年前の探索において、この看板が入口の車止めのところに掲げられていたからだ。
あえて触れないようにしてきたが、入口にある国道の路肩のコンクリートにはでかでかと落書きがされており、この落書きは2年前にはなかったものだ。

・・・多くは語るまい。
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 39 崩落した土砂は私の身長をゆうに越え、もし次の崩落が起これば確実に塞がるだろう。
ただ、隧道自体の崩壊ではなく、坑口付近の法面が崩れ、その土砂が流れ込んできたらしい。

いずれにせよ、ここは岩に張り付いてえっちらおっちら登っていかねばならない。
垂直登攀というほどのものではなく、足元はわりと安定しているような印象であったが、果てさて、いつまでここに光を通してくれることやら。
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 40 土砂を登りきれば、そこが出口だ。振り返って撮影。
隧道延長は5メートルくらいだろうか。

次の崩落があれば埋まりそうなのは間違いないが、周囲を見回してみると、もう崩落しそうな危うい法面は残っていない。
というのも、この写真の左側はすぐに国道のコンクリートでガッチリ補強されているのだ。
コンクリートはかなり現代的な作りをしており、おそらくここ(国道の路肩)が崩落した後、補強工事を行ったのだろう。
入口にあった亀裂に目をつぶれば、案外この隧道も長生きするかもしれない。

3-3 落とし穴再び

シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 41 崩落現場の山を越えると、再び道の痕跡は薄くなる。
前方には断崖に刻まれた道が明瞭に見えているが、このあたりは例によって漂着したのか上から崩れてきたのか分からない岩がごろごろしており、 当時の道をうかがい知ることは不可能だ。
ただ、国道に蹂躙され、途切れてしまったような場所はないように思う。

歩道の上に見える道が国道。
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 42 少し先に歩道の痕跡があった。
が、大部分は崩壊しており、「そこにあった」くらいのことしかわからない。

第二隧道は海抜0メートルの地点にあったが、いつの間にか歩道は2メートルほどまで登っていたらしい。
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 43 接近して撮影。

舗装や路肩といった外骨格を残して、中身はすっぽ抜け。
右側の薄っぺらなコンクリートなど、上から見た場合には足元がないことに気付くまい。
いくらなんでもあの薄さでは人一人の体重でも容易に割れるだろう。
当然、気付かずに踏み込めば、転落だ。

海面との距離はだいぶあるのだが、海が荒れるときにはこの辺りまで潮をかぶるのかもしれない。
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 44 徐々に徐々に、空の赤みが増してきた。
このまま夕景になれば、周囲の断崖と合わさってさぞかし絶景が楽しめることだろうが、 これから廃道に赴こうというものにとっては死へのカウントダウンに他ならない。
神秘的な帳に足を止める間もなく、前へ。
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 45 第二隧道を出てから、私は海岸線を、歩道は数メートルの高さを進んでいるわけで、歩道に立つにはどこかで登攀が必要になる。
先ほどの崩落地点を登ってもよかったのだが、足元があんな調子ではいつ「落とし穴」に落とされるかも分からない。
崩落場所からほんの数メートルほど先にこのような安定した岩場があり、ここならば安全に登ることができそうだ。

高さもなく、手がかりは豊富。素人の素手でも登攀は十分に可能。
シーサイドライン脇の廃歩道 怒涛渦巻く断崖の道 46 登りきって、振り返って撮影。
予想通り、こちら側にも巨大な落とし穴が用意されていた。
足元にあるのは薄っぺらなコンクリートの板であり、その上に立ったときの身体の無事は保障できない。
このあたりでちょうど全体の半分ほどだ。
ただ、地形図を見る限り、この先は断崖の中腹に刻まれたようなところにある。
以下次回。
[ 06' 3/5 訪問 ] [ 06' 4/21 作成 ]
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