昭和炭鉱跡 隧道マーケット 2

概要

昭和炭鉱跡 隧道マーケットの地図 前回の訪問から2ヶ月が過ぎた。
5月の訪問時の様子からすれば、5月末くらいに行くのがベストと思われたものの、時間が取れずに再訪は夏まで待つことになった。
今度こそは、あの川を攻略しよう。

2-1 人のぬくもり

昭和炭鉱跡 隧道マーケット 23 再訪ではズルして林道入口まで車で来てしまった。
この日、本来は道北方面を旅するつもりだったのが、雨で中止となって引き返してきた、その帰りである。
このあたりは降っていなかったものの、空はいつ降り出してもおかしくない有様。
さらに、ここ一週間くらいぱっとしない天気が続いており、「水量が減ったときに再訪」という目的にはあまりいい条件ではない。
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 24 すっかりおとなしくなった林道。
雪原の上を汗だくになりながら自転車と共に歩いた2ヶ月前とは打って変わって、林間の穏やかな砂利道になっていた。

さらに心強いのは、明瞭な四輪の轍が奥にまで続いていることだ。
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 25 というか、進んでいたらその四輪の主らしい軽トラックがこっちに向かってきた!!
すれ違いざまに声をかけられたので、立ち入り禁止であることを咎められるかと内心ビビッていたものの、そんな様子もなくこの先の状態について親切に教えていただいた(ホッ)。
なんと、たった今炭鉱アパート周辺の草刈をしてきたとのこと!
歴史の闇に埋もれたかに見えたあのアパートにも、こうやって人の目が届くようになっている。
熊しかいなさそうなこの道にも、人と車が通る。
これほど心強いことはない。

2-2 下流側坑口

昭和炭鉱跡 隧道マーケット 26 思い出深き分岐地点に、再びやってきた。
5月には林道入口から40分もかけてここまで来たというのに、今日はわずか10分で到着。
路盤の荒れ具合も2ヶ月前と同じで、自動車でもこれるレベルであることは先ほどの軽トラが証明している。


ここに来るまで、ところどころで川の様子を見てみると、やはりここ数日の曇天を反映して、その水量は少ないものではなかった。
でもまあ、前回に比べれば全然マシ。
実際に現場を見てみないとわからない。
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 27 分岐を左に曲がると、確かに足元には刈られたばかりの草が横たわっていた。
青臭いにおいが周辺に漂っており、待ち望んだ夏を実感。

一方で、常に対岸を見ながら進むことができた5月とは異なり、川がある左手には背丈を越す藪の壁。
対岸どころかそこに川があることすらわからないような分厚いものだ。
5月にあらかじめ探索していたからこそ、大体の隧道の位置に見当をつけることができるだけで、もしもこの探索が初回であったならば、隧道を探して藪の中を進まねばならないところだった。
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 28 こんな壁の向こうに隧道マーケットへの入口があるなんて、初めてでは絶対にわかるまい。
いわゆる「初見殺し」という奴で、下手すりゃこれまた「時期が悪い」とかいって帰ってしまっていたかもしれない。


そんなこといっても、やっぱり坑口の場所は曖昧。
なので、適当に当たりをつけて藪の中にダイブ!
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 29 あの土の絶壁、見覚えがあるような・・・

5月には雪の斜面だった対岸は、この2ヶ月の間に緑の斜面に様変わりしていた。
坑口は5月の時点でほとんど埋没しかけており、この時期では緑に覆われていることだろう。
露出した土の絶壁が、2ヶ月前にも雪の間に見えていた気がする。
そこにありそうな坑口も、確認は難しい。


もともと下流側の坑口は深い谷の向こうにあり、アプローチは最初からあきらめていた。
上流側の坑口を目指してさらに林道を進む。

2-3 上流側坑口

昭和炭鉱跡 隧道マーケット 30 炭鉱アパート群も緑に包まれてしまった。
これはこれで廃墟らしくてそそられるものがある。

一方で、5月の時点では林道からも確認できた選炭場の跡は、道の両脇に伸びる藪の壁に阻まれ、全く見えなくなっていた。
こりゃ時期が悪い。
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 31 さて、2ヶ月前に見つけた反対側の坑口はどこだったか・・・

前回の探索で明らかにした反対側の坑口も、一変した景色の中ではどこにあるのやらさっぱり。
せっかく持っているGPSも活用することなく、手当たり次第にダイブ!
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 32 ダイブした地点はぜんぜん見当違いだったところのようで、書き分けた藪の向こうには坑口は見当たらなかった。
どうやら、坑口がある地点よりもかなり上流地点に着いてしまったらしい。

川伝いに歩いていけば、見落とさない限りは坑口の前に着くはず。
むせ返るような緑の中を、草を掻き分けながら川に沿って下流方向に歩いていくことにした。
5月の坑口の様子なら、先ほどの坑口のように緑に埋まっていることはないはずだ。

川は相変わらず濁り、水量も油断ならない。
微妙。
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 33 むほっ!!発見!!

藪にダイブしてからひたすら緑の中を進むこと約10分、前回も目の前にして敗退した、隧道の上流側坑口に到達。
緑に覆われた真っ黒な坑口に、かつて多くの買い物客が出入りした姿は全く想像できない。
幽霊すらも出入りすることを許さないような、あまりにも自然に帰った姿である。

その奥には何があるのか───
私の探索の動機となるのは、唯一それである。
幸いにも、足元の水流は渡れないほどではなさそうだ。
それすなわち、私があの坑口に立ち、奥を見るにあたっての障害は無いということだ。

明かり一式は自転車のサイドバッグに置いてあるので、はやる気持ちを抑えて、まずは引き返す。
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 34 また坑口を見失うことの無いよう、川からまっすぐに林道に向かう道を"開削"しながら戻った。
覆いかぶさる藪を踏み倒しながら、林道と隧道を結ぶ一条の道を作ったのである。
ある意味、50年前に失われた道路が、時を超えて復活したともいえよう。


炭鉱アパートの前に置き去りにしていた自転車を回収し、バッグから隧道装備を取り出して準備完了。
開削した道の向こうに、真っ黒な口が開いているのがお分かりいただけるだろうか?
草の間から、その穴を見てみれば、ほら隧道もあなたを見ている。
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 35 先ほどは隧道を探して10分近くも藪の中をさまよったが、開削した道をたどれば、ものの数秒で坑口前に着ける。
踏み分け道程度であろうと、道路の偉大さを実感。


川は濁り、水深はようとして知れない。
流れはさほど速くないようだ。
拾い上げた棒切れを川底に突き立て、ひとしきり水深と流速を確認してから、渡渉を開始。
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 36 最初は石伝いにいけないかと画策したが、かえって滑りそうだったため、安全を確認しながら川底をジャブジャブと歩いた。
結局深さは最大でも脛のレベルで、危険を感じることはなく、早々に渡って振り返って撮影。
もちろん靴も靴下もぐっしょりではあるが・・・
昭和炭鉱跡 隧道マーケット 37
こんなところに、買い物客が出入りした。
廃墟とも廃道とも異なる、たった一つのジャンルである隧道マーケット
このジャンルほど、隧道と生活が結びつくものもないだろう。
50年前、そんな生活があったという隧道に足を踏み入れる。
その奥には何があるのか───
[ 11' 5/6、11' 7/16 訪問 ] [ 11' 10/27 作成 ]
前の記事へ次の記事へ
ひろみず http://d-road.sytes.net/ webmaster@d-road.sytes.net
昭和炭鉱跡 隧道マーケット12345