持倉鉱山 遺跡への昇華 2

概要

「冷静と情熱の間で」なんかそんなドラマのタイトルを思い出す。
一度引き返し、万全の装備を整えた上での再挑戦は、最初の訪問から6日後の3月3日、ひな祭りの日。

2-1 とりあえず見た目から

持倉鉱山 遺跡への昇華 35 今度は時間と体力の節約を期するため、最寄り駅まで輪行してきた。
また、最近平気で自転車を放り出す探索を繰り返していることに反省し、意地でも奥地まで自転車を持ち込むことを決心した。
当然、道の体裁のないところを進むことは容易に予想できたため、担ぎ用に自転車を軽くすべく、いつものサイドバッグをリアキャリアごとはずし、 荷物はすべて登山用ザックに入れてきた。
普段のコートもやめ、登山用のレインウェア(防寒をかねる)で身を包んでいる。

そんな格好でマウンテンバイクに跨るもんだから、どう見ても「いっちょまえの」山男。
持倉鉱山 遺跡への昇華 36 それが所詮見てくれでしかないことは私しか知らないわけで、立ち寄った道の駅では「どこの山に登るんですか?」などと聞かれてしまった。
そこで「廃墟を見に行くんです♥」なんて嬉々として答えてしまうと、 怪訝な目で見られること150%なのである(1回見られる確率が100%、もう一度覗き込まれる確率が50%)。
おとなしく「あの山の・・・てっぺんまでは行きませんけどね」などと鉱山の方にある名前も知らない山を適当に指し、何とかごまかし通した。
やれやれ、一人きりの廃墟探索でなんでこんな気苦労をせねばならんのだ。


この日の最高気温は先週とは打って変わって15度くらいにまで上がるというが、朝は氷点下だ。やっぱり寒い。

2-2 冬の渡渉に文明の利器が挑む

持倉鉱山 遺跡への昇華 37 午前九時前、前回自転車を捨てた地点にまで到達。
前はここから左の斜面を伝っていったが、今回の目的地は対岸にある。
自転車ごと進むなら、ここで渡渉しなくてはならない。
そのための新装備を、お見せしよう。
持倉鉱山 遺跡への昇華 38 その名も、ネオプレーンの靴下、そして高かったウェーディングシューズである。

・・・もっとも、一週間前まではネオプレーンだのウェーディングなんとかだのという単語を私は知らなかったのだが。
沢登りについてあれこれ調べていると、足元装備はこれがよいとかで、探索の二日前に買ってきたばかりである。
この時期に沢を登るなどという馬鹿者は多くないらしく、手に入れるのには苦労した。

(補則説明。ネオプレーンの靴下はやわらかい発泡スチロールのような感触で、水を通さない。また、分厚いので耐冷性もある。 ウェーディングシューズは靴底にフェルトなどが張ってあり、苔の生えた川床でも滑りにくくできている)
いくら足元を固めようと、濡れずにすむのは靴下が覆う範囲=膝下までである。
それ以上濡れることも覚悟し、ハーフパンツに履き替えた。
下着も替えの物を用意しているので、最悪腰までは許容するつもりだ。


適当に気合の入ったところで、浅くかつ流れの緩やかなところに渡渉地点を設定、自転車を脇にザブザブと進入した。
持倉鉱山 遺跡への昇華 39 おっ(ザブ)
おっ(ザブ)
おっ(ザブ)
おっ(ザブ)
持倉鉱山 遺跡への昇華 40 これはいい!
水深は膝まであるが、浸水どころさまったく水の冷たさを感じない!
川床には苔も生えているようだが、流れの速い水中でも靴はしっかり地面をつかんでいる。
さすがに科学文明の利器よ!

ただ、どうしても流れに戸板を立てる形となる自転車が流されそうになって困る。
まあ、今回自転車には何の付属品もないので(GPSも首からかけている)、いくらふらつこうが水中に沈もうがお構いなし。
錆びるかな。
持倉鉱山 遺跡への昇華 41 渡渉成功!
さあ、あとはこのまま精錬所跡まで歩いていくだけだ。

2-3 準備の先に待っていた報酬

持倉鉱山 遺跡への昇華 42 精錬所に近づくまで、特に道らしいものはない。
この辺の平地はただの川原のように見える。
かつては精錬所と対岸の事務所と行き来していたはずだが、どうやって行き来したのだろうか?

そろそろ姿を現してきた精錬所へと、さらに接近。
持倉鉱山 遺跡への昇華 43 そして要塞のような全貌を現す。
ほとんどが藪に覆われてしまい、またその密度があまりにも濃いために、冬場であっても全体像はつかめない。
川岸の斜面にいくつかの階層を持っていたようだが、建物自体はほとんど崩壊してしまっている。
少なくとも視界に入る建物跡は、対岸の事務所の数倍の規模はあったらしい。
持倉鉱山 遺跡への昇華 44 川の下流側にはこのような門のような入り口があった。
しかし、ここは上から下まで完璧に植物に囲まれてしまい、自転車どころかまったくの無装備の徒歩でさえ、さらには匍匐前進を駆使したところでここは入れない。
どうしても入りたければ鉈でも持ってくるしかないが、そんなことせずとも崩れまくった精錬所にはいくらでも進入口はあろう。
もっとも、建物自体がほとんど残っていなさそうだが・・・
持倉鉱山 遺跡への昇華 45 今の入り口もどきは建物全体からすると最も低層にあり、水面とほとんど同じ高さだ。
そこを迂回してみると、一段高くなったところに、またひとつアーチがあった。
いたるところから木々が生えた今ではもはやどこが建物内でどこが建物外かもはっきりしないが、おそらくここから精錬所に入れたに違いない。

先ほど見た門構えとは明らかに構造が異なり、先ほどのは人が出入りするというよりも鉱石の通路だったような気がする。
持倉鉱山 遺跡への昇華 46 アーチは対岸の事務所と同じ構造で、ここが本来の出入り口であろうか。
だがここも入り口をふさぐように木が生え、巨大なザックを担いだ人間が出入りするのは苦労しそうだ。
持倉鉱山 遺跡への昇華 47 川面の高さを第一層とするならば、今いるのは第二層にあたるところだが、まだ上にもなにやらカラミ煉瓦の構造物が見える。
斜面に沿ったそれが果たして何らかの施設なのか、はたまたただの擁壁なのかはわからないが、斜面を登っていく価値はありそうだ。
持倉鉱山 遺跡への昇華 48 ここを・・・登るか。
動きやすくするためにザックにしてきたわけだが、意外にこれが縦横無尽に伸びる枝に引っかかり、邪魔をする。
あまりにも、ここは自然に帰りすぎている。
[ 07' 2/25、07' 3/3 訪問 ] [ 07' 4/10 作成 ]
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