弥彦山付近 猿ヶ馬場の廃墟 3

概要

弥彦無線中継所、またの名を自殺電波塔とも、ブラックハウスともいう。
電波塔とは、この建物の横に隆然とそそり立つ高い塔のことを指している。こちらはまだ現役だろうか?

3-1 建物外部の探索

弥彦山付近 猿ヶ馬場の廃墟 37 裏口から外へ出ると、すぐにこのような階段で一階外に降りてくる。
写真のほとんどを葉の落ちた木が覆っていることを見ても明らかなように、この時期以外はまともに進むこともできないだろう。
弥彦山付近 猿ヶ馬場の廃墟 38 上の写真に写る左下の窓は、先ほど探索した一階のトイレである。
その向こうにはスタート地点であった入口が見えており、その位置関係がお分かりいただけると思う。

とにかく周りには潅木が生い茂り、いくら葉の落ちた春先であるとはいえ、まっすぐに進むこともままならない。
枯れ草は地面いっぱいを覆っており、この付近にめぼしいものは見つからなかった。
弥彦山付近 猿ヶ馬場の廃墟 39 建物の角、トイレの脇には、先ほど階段から見下ろしたコンクリート製の遺構がある。
2畳ほどの広さで長屋形式に数個並び、資材倉庫のような印象を受けるが、正体は不明だ。
弥彦山付近 猿ヶ馬場の廃墟 40 内部の様子。
天井は抜け落ち、その残骸すら存在しない。
床も自然に帰りきったのか、はたまた土間のように土の床だったのかは知らないが、人工物らしいものは見当たらない。
ほとんど地面に直接壁を立てたように見えてしまう。
弥彦山付近 猿ヶ馬場の廃墟 41 振り返ると地面には大きな穴が開いていた。ちょうどここはトイレの裏手であり、汚物槽だろう。
無論、中にたまっているのは雨水だろうが、底は見えなかった。落ちれば・・・それこそ怪談話が一丁上がりだ。
足元が見えない夏場には建物自体に近寄れないと思うが、それでもたどり着いてしまった場合、十分に注意されたい。
このまま倉庫(?)に沿って進んでいけば、建物入口脇に通じているはずなのだが、太い木々と崖に阻まれ、通行は容易ではない。
まあ、無理して突破する必要もあるまい。
来た道を引き返し、建物内部を抜けて入口へと戻った。

3-2 建物左側

弥彦山付近 猿ヶ馬場の廃墟 42 最後に、建物の入口に向かって左側を探索する。

特に目立った構造はないが、コンクリート製の石垣はすっかり苔に覆われ、過ぎ去った時間の長さを感じさせる。
真ん中に生える木も、いったい何年の年月を経ればこのような太い幹まで生長するのか。
弥彦山付近 猿ヶ馬場の廃墟 43 壁には鉄板で覆われた小窓があいており、中の様子が見える。
中は二階で、奥のほうに階段があるはずだ。この小窓は内部からの写真にも写っており、 ここはその外だ。

小窓の脇には屋根へ続くはしごがあるが、ボロボロに錆びきったこれに足をかける気にはならなかった。
弥彦山付近 猿ヶ馬場の廃墟 44 この先は先ほど外へ出てみた建物裏口の方角であるが、こちら側からはアクセスできない。

何かよく分からないコンクリートが地面に埋設されているが、周り中から植物がそれを覆い隠し、全体像を望むのは難しい。
弥彦山付近 猿ヶ馬場の廃墟 45 深い崖によって建物を一周することは不可能であり、再び来た道を戻り、最後に内部を撮影。
すでにその半身は植物に埋もれているが、日の当たらない内部や庇のあたりはまだ無事である。 建物自体が崩落してしまわない限り、植物が支配しうる領域というのはこれが限界であろう。
無線中継所であることを明らかにし、その建造年代もおおよそ推定できた。
廃止年代についてははっきりしないが、それでもこの建物はよく物を語ってくれた。
建物の状態はおおむね良好であり、また、取り壊そうにも重機が入れる道がなく、良くも悪くもまだまだ注目され続けるであろう。

いまだその真相を完全に解明できたわけではないが、少なくとも在りし日の正体を突き止め、当初の目的は達した。
去り際にもう一度廃墟を見上げ、感嘆と疲労、そして少しの安堵感から、大きく息を付き、帰路へとついた。
無線中継所ということが判明したので、帰宅後に図書館で調査を行った。
無線電信等の全国網が整備されたのは昭和のごく初期であり、新潟に放送局が設置されたのは昭和6年のことだ。
「日本無線史」によれば、開局と同時に新潟市内に無線中継所が設置されたとあるが、弥彦の無線中継所については言及されていない。
そのほかのページや、別の書物を手繰ってみても、弥彦無線中継所に関する文言は残念ながら見られなかった。
そのため、相変わらずその正確な歴史は不明であるが、建物に残されたヒントから大正末期から昭和初期と推定した年代と 全国網が整備され始めた年代とは非常によく一致する。


わずかなヒントのみを語り、すべては語らぬ峠の廃墟。
時代は違えど、今日もその足元を行く人々を見下ろしている。
[ 05' 4/16 訪問 ] [ 05' 11/2 作成 ]
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