猿毛岳スキー場跡 3

概要

猿毛岳スキー場跡の地図 選択肢はまだ失われたわけではない。観察は選択の幅を広げる。
まずは他に侵入できそうな入り口を探そう。

3-1 まず見よ

猿毛岳スキー場跡 28 壁伝いに建物をぐるりと回ってみる。
建物の角にはまたもや屋上に上がる階段があった(写真左側が勝手口などがある側)。
その階段もすっかり藪に覆われており、もはや段差など無きに等しい。

これで外壁から屋上へと上る階段は二つ存在することになり、そのどちらもかなり幅が広い。
屋上に木造の建造物があったことは確かであり、それがスキーロッジであったことはおそらく間違いなかろう。
屋上の探索はひとまず後回しにし、一階への侵入口を探す。
猿毛岳スキー場跡 29 階段の並びには四つの窓(写真には三つしか写っていないが、ドラム缶のある窓の左にもうひとつある)が開いていた。
位置からして、少なくとも一つは先ほど内部から見た台所の窓であることは間違いない。
一番右側の窓がそれにあたると思われる。
猿毛岳スキー場跡 30 中をのぞいてみると、確かにその通り。
目の前には台所、奥にはとうみ、右には二つの寝室が見える。

問題なのは、ここより左にある三つの窓だ。
そこからは入れれば問題なし。
猿毛岳スキー場跡 31 台所のひとつ隣の窓から中をのぞくと、そこはこじんまりとした風呂であった。
普通のロッジに風呂場などあるわけがない。ということで、ここが合宿所であったことは間違いないといってよかろう。

風呂場の向こうは脱衣所らしく、さらに先には光と砕けた木片が見える。
あそこがちょうど崩落した階段の辺りにあたるらしい。

風呂の窓なのでそれほど大きくはないのだが、入っていくのには十分な大きさだ。
ここからなら階段部分を迂回して奥の探索が可能だろうが、その前に他の二つの窓から中を見てみることにする。

まあ、風呂場の青いタイルから、隣の部屋が何であるかは想像がついたが。
猿毛岳スキー場跡 32 やはり。

風呂場のとなりはまた風呂場。
壁のタイルがピンク色であることから、こちらが女子風呂、先ほど見たのが男子風呂だろう。
猿毛岳スキー場跡 33 最後に、最も左側の部屋をのぞいてみる。
ここには得体の知れない巨大な機械が眠っている。
風呂場の隣ということで、ボイラー室だろう。
猿毛岳スキー場跡 34 残念なことに、このボイラー室だけは水没している。
まあ、水没といっても水深はくるぶし程度。


さて、とりあえず崩落階段を迂回して侵入できるルートを三つは見つけた。
どこから入っても良かったが、崩落階段直近の男子風呂から入ることにする。
一歩内部へ入れば中は真っ暗闇、ヘッドランプとなかなか強力な着脱式自転車用ライトをチェックした。

3-2 風呂場に潜入・・・やな響き

猿毛岳スキー場跡 35 窓枠に散乱していたガラス片に気をつけながら、何とか侵入に成功。
風呂場と脱衣所はガラス戸で仕切られていたらしく、ここもガラス片が散乱しており、歩くのは難儀した。

脱衣所は床や作り付けの棚などが木製であるが、意外にきれいに残っている。
棚はともかく、木製の床は踏み抜きそうで少々怖かった。
猿毛岳スキー場跡 36 脱衣所に備え付けられた洗面台も無傷。
残されたスポンジやタワシが生々しい。
そのまま人がドロンと消えてしまったかのようで・・・
猿毛岳スキー場跡 37 予想通り「男子浴室」とかかれた扉をくぐると、目の前に広がるクライシス。
何とか触れずに通ることは出来たが、ヒヤヒヤ物だった。
猿毛岳スキー場跡 38 おうっ、男風呂の目の前、階段の隣には女子御手洗の文字がっ。
廃墟であっても、こういうのってなんかドキドキしますよね、フヒヒヒヒ(死
猿毛岳スキー場跡 39 中は他の部分以上に荒廃しており、抜け落ちた天井の破片が散乱していた。
男子風呂ではきれいだった洗面台も滅茶苦茶だ。
この破壊が人為的なものかどうかはわからない。

窓もなく、外の光も届かないここは完全に真っ暗であった。
何もかもが崩れ落ち、汚れきった内部はさすがに不気味さを禁じえない。
猿毛岳スキー場跡 40 奥には二つの個室。
開いているほうはともかく、閉じているほうが放つ「負のオーラ」は、 先ほど女子トイレ侵入時に感じたドキドキ感を180度別な方向へと反転させた。
心霊などこれっぽっちも信じず、野宿の際に平気で墓地の目の前に泊まったりもする私だが、やっぱり怖いもんは怖い。
不気味すぎる右の扉は、開けられなかった。

3-3 枯れた秘密の花園

猿毛岳スキー場跡 41 気を取り直して次の部屋へ。
そこはドキドキ第二段、女子風呂だっ。
猿毛岳スキー場跡 42 現役施設では男子禁制の禁断の地、無理に入ればお縄という場所である(廃墟だって侵入自体がまあアレなんですが)。
別にこれを目的に探索しているわけではないが、それは男のサガといいますか。

木製の扉は難なく開き、内部は男子風呂と同じ構造だ。
ここも棚は良く残っているが、足元の床板は一部で抜けていた。
猿毛岳スキー場跡 43 風呂桶。
最後の入浴者はどんなスポーツ乙女達であっただろうかと勝手に妄想してみる。

放棄されてから20〜30年は経過したであろうその内部にたまるのは湯ではなく、泥。
落ち葉やダンボールなど雑多なものがたまっており、ここで身を清めることは、もうない。
猿毛岳スキー場跡 44 洗い場にもいろいろなものが落ちていた。
左下の丸いものは電球カバーか。
また、右下に移る木片にはマジックで「暫く出していますと温くなります」と書いてあった(■写真)。
この場所で、かつて人のやり取りが確かに存在したことの証である。
宿泊者への気使いからの言葉が、朽ち果てた廃墟の中に残されているというのは・・・なんともやりきれない気持ちになる。

そんな穏やかな気持ちの美しさを知らぬ者の所業か、奥の燃え尽きた棒は、 まさか暗闇の探索に松明でも使ったんじゃないだろうな・・・

3-4 残された謎

猿毛岳スキー場跡 45 女子浴室を後にし、廊下の先を進む。
そこにはベニヤ板のようにベコベコになった扉があった。
ここから先にはボイラー室があったはずだから、ここより先は関係者以外立ち入り禁止ということか。

このすぐ先にボイラー室の扉があったが、さび付いていてビクともしなかった。
猿毛岳スキー場跡 46 入れそうで入れなかった建物裏口に到達。

これでまあ建物内部はほぼ探索完了。
ちょっと気になったのは、女子トイレがあるにもかかわらず、男子トイレが見当たらなかったことだ。
以下に内部の見取り図を載せるが、スペース的には女子トイレの隣が妥当か。
しかし、探索時にはそこに男子トイレを見た覚えがない。
単に見落としたのか、本当は別の場所にあったのか、はたまた最初からなかったのかはちょっと判断しかねる。
見取り図 見取り図。
美しい青春の舞台となったかもしれない合宿所が、無残にも朽ち果てていく姿は痛々しいものがある。
一方で、かつての栄光を失い、その痕跡をとどめながら風化してゆく姿に惹かれたのもまた事実。
廃道も廃墟も、私が求めるものは結局一緒なのだ。

次回はその他の遺構をお伝えする。
スキー場らしいものもありました。
[ 06' 4/22 訪問 ] [ 07' 3/8 作成 ]
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