猿毛岳スキー場跡 4

概要

荒れ果てた合宿所の周辺を探索する。

4-1 墓標

猿毛岳スキー場跡 47 建物はただのコンクリートの箱ではなかった。
外壁はこのようなピラミッド型をしており、洒落ている。
昭和中期の建物としては異色といえそうだ。
猿毛岳スキー場跡 48 屋上に続く階段を登ってみた。
そこにはかつてスキーロッジがあったはずだが、いまやご覧のとおり、無残な残骸を残すのみである。
土台である合宿所のほうには手をつけられていなかったが、スキーロッジのほうは人為的に解体したらしい。
ひびだらけの白い煙突が墓標のように立ちすくむ。
合掌。

4-2 スキー場跡の証拠

猿毛岳スキー場跡 49 ゲレンデ全景。
この写真に写っている範囲が、おおむねかつてのゲレンデである。
よく手入れされた植林地が広がり、もはやかつての白銀の世界が戻ってくることはない。
猿毛岳スキー場跡 50 だが、ゲレンデの端のほうをよく見ると、かつてここがスキー場であったこれ以上ない証拠が今も残されていた。
そう、リフトである。
猿毛岳スキー場跡 51 いまだケーブルが張られたままのそれを麓までたどっていくと、亡霊のように木陰の中にたたずむリフト乗り場があった。
今立っているところは農道のようなあぜ道であり、そこからリフト乗り場まではまだ距離がある。
冬枯れしたこの時期だからこそ、このままリフト乗り場まで歩いていけるが、夏場は周辺は藪に覆われる(■夏場の写真)。
猿毛岳スキー場跡 52 大型のローラーとケーブルはまだ強度を保っていそうだ。
上に乗っているのはリフトの管理室だろう。
管理室が真っ赤に染まっているが、これはもともとの色なのか、すっかりさび付いてしまった結果なのかはわからない。
猿毛岳スキー場跡 53 反対側に回ってみる。
そこには、管理室へと続く垂直の梯子が待っていた。
これは・・・当然「上へ行け」ってことだよな・・・

ひとしきり強度を確認してみたところ、特にボロボロということはなさそうであり、しっかりと支えられているようで、まだ何とかいけそうだ。
猿毛岳スキー場跡 54 ただ、梯子は微妙に高い位置にある。
最初の段はおよそ胸の高さにあり、いくら梯子とはいえここに足をかけるのは大変だった。
積雪時ならば問題ないのだろうが、今の時期はちょっと困る。
周辺に投棄されていたコンクリートブロックを拝借し、これを足場にして何とかよじ登った。
ここは股関節の柔らかさが要求される。
猿毛岳スキー場跡 55 幸い梯子に強度的に恐れるような場所はまったくなく、難なく上まで到達。
だが、管理室の扉は完璧にさび付き、その取っ手はびくともしない。
仕方なく、割れた窓越しに内部を撮影。
猿毛岳スキー場跡 56 管理室の天井は朽ちて抜け落ち、そこから植物たちが容赦なく侵入してきていた。
あるいは、この植物たちがこの天井を突き破ってきたのかもしれない。少なくとも部分的にはありそうだ。
猿毛岳スキー場跡 57 なにぶん扉が開かないため、内部には入れない(まあ、入ったところで機械的なことはわからないのだが)。

かつては目の前の機械類がうなりをあげ、人々を運んでいたのは間違いない。
ひばりの声が響く、静かな静かな山中からはもう往時の姿は偲べない。

4-3 ヤマの気持ちは・・・?

猿毛岳スキー場跡 58 リフト乗り場周辺にはいろいろと当時のものが残されている。
しかしながら、どれもこれも土色にさび付き、また泥に埋もれて周囲と同化しつつあるそれらは、 いくら藪のない今の時期とはいえ探すのは「ウォーリーを探せ」に近いものがある。
この写真にはかつてケーブルを張った滑車が4つ(かそれ以上)あるのだが、お分かりいただけるだろうか?
猿毛岳スキー場跡 59 スキーハウスの白い墓標に続き、リフト乗り場の赤い墓標。

先ほどゲレンデを一望したときに見たとおり、いまだケーブルはぴんと張られたままで、この分だとリフト降り場まで続いていそうだ。
ケーブルをたどっていけばその場所までいけることは確実なのだが、おそらくその設備はリフト乗り場と大差ないものと思われる。
ちょっとケーブルをたどってみたのだが、結構しんどそうだったので深入りはしていない(ヘタレ)。
猿毛岳スキー場跡 60 リフト脇はかつてのゲレンデ。
植林の際に造成をしたのか、やや段々畑のように段差がついている。

スキー場としてはすでに息絶えたこの山も、その後に与えられた里山としての使命は汚されることなく続いている。
林はよく管理され、下枝を刈られた林床は明るく、歩いていても気持ちがよい。
また、猿毛岳はハイキングコースとしても知られており、登山道も近くにある。
山にとっては、あるいは、周辺の地元の人間にとっては、むしろそれらの役割のほうが自然であったのかもしれない。
スキー場であったことは、一時の風邪のようなものだったのだろうか。
ひっそりと消えた、猿毛岳スキー場。
一抹の寂しさを覚えながらも、それが是であったのか、非であったのか、私にはわからなくなってしまった。

ただ往時の賑やかさを無音で伝えるように、その遺構は静かに、林の中で時を過ごしていた。
[ 06' 4/22 訪問 ] [ 07' 3/16 作成 ]
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